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kiss
第12章 eye

 蛇口から注がれる冷水をじいっと見つめる。
 つい数分前に密着して重なっていた双子の片割れに視線を移すと、すぐに鋭い瞳に捕まった。
「なに。もう一回する?」
「冗談」
 グラスを受け取りながら、ソファに向かって歩く。
 ティッシュで拭いたけどまだ気持ち悪い。
 早くシャワー浴びないと。
「冗談じゃねえけど」
 ああ、逃げられなかった。
 あの瞳から逃げるために背を向けたのに。
 そんな一言で足を止めてしまう。
 だって、今は賢者タイム。
 冷静なんだぜ。
 ありえないって。
 生まれた時からの家族と。
 ありえないって。
 馬鹿みたいに汗かいて快感に縋って。
 ありえないって。
 床のコーラのペットボトルを一瞥して、傍に雑に投げられたタオルを足で蹴る。
 濡れた感触につま先をぶらぶらと揺らした。
「じゃ、一緒にシャワー浴びるか」
 返事を待たずにすりガラスの向こうに消えた背中を素直に追いかける。

 浴室に入ると、すでに髪を泡だらけにした兄ちゃんが片目だけ開けて振り向いた。
「遅えよ」
「タオル洗ってたし」
「シーツも洗濯しねえとな」
「母さん帰ってくるまでに乾くかな」
 シャワーのノズルを手に取り、温度と勢いを調整する。
「来るわけねえだろ。なんなら母さんの部屋使う?」
 最大出力にして、その顔に振りかけた。
「んぶっ! お前!」
「サイッテー! 下の下! 今すぐ死んだほうがいい!」
 ジャバジャバと上下に揺らして全身に浴びせる。
 泡が流れ落ちて顔が露わになった兄ちゃんが、素早くノズルを奪って反転させた。
 反撃だ。
「やめろって! ばっ、ちょ、反則」
 顔を重点的に狙われて、両手でガードする。
 視界がなくなっていたから、気づかなかった。
 シャワーヘッドが落ちる音がして、肩を突き飛ばされたと思うと、浴室の壁に押し付けられて顔の水滴をそっと手のひらで拭われた。
 目の前に、同じ顔。
 床でヘッドが暴れてる。
「なあ。後悔してねえ?」
 低く小さく、心細くなる声。
「オレは、一切してねえ」
 両手が顔を包んだかと思うと、唇が優しく重なった。
 キスしてる。
 兄ちゃんと、キスしてる。
 嬉しくて、くすぐったくて、笑いが込み上がる。
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