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kiss
第2章 gloss
 ニコニコして待っていると、忍が手を止めた。
「なにしてんだ。自分の箸持って来いよ」
 オレは目を見開く。
「なんだ、その顔。俺が食べさせてやるとでも思ったのか?」
「思った」
 コクコク頷く俺を本気で突き刺そうとしてくる忍。
「人間、箸でも殺せるかもなあ?」
「ちょちょちょっ! なんでだよっ、ささやかな期待しただけだろ」
 太腿を刺され、ビクッと肩が強張った。
 ……ヤバ。
 反応しちゃった。
 脚を摺り合わせる。
 忍が不思議そうな目でオレを見る。
 ああ。
 あんな変なこと考えたせいだ。
「てめぇ……顔赤いぞ?」
「えっ! マジ?」
 急いで顔を押さえる。
「大丈夫か。熱あんのか。ちょっと額触らせろ」
 四つん這いで寄ってくる忍の胸元に目が奪われる。
 急いでオレは後ずさる。
 伸ばした手を空中で止め、忍は少し寂しそうな顔をした。
「……なんだよ。幼稚園からの付き合いなのに額触んのも嫌かよ」
「ちがくてっ!」
「もういい。餓死しろ、てめぇなんか」
 ああああ。
 なんでこんな時だけ可愛くなるんだよっ。
 オレは頭をかきむしって悶えた。

「忍っ!」
 いきなりの大声にキョトンと顔を上げる。
 その傾いた無垢な顔の今までのギャップに理性が崩壊する。
 口端についたオレンジの液体がもうエロく見えて仕方ない。
 濡れた唇。
 それを舐める舌。
「なんだよ、いきなり大声出し…」
 カランと箸が落ちる。
 オレは勢いで忍の唇を奪っていた。
 呆然として力の抜けた口に舌を入れ、音を立てて貪る。
 肉の味。
 忍が好きな味。
 クチュ。
「ん……」
 抵抗しようとした腕を掴んでベッドに押し付ける。
 細くて、簡単に壊れそうだ。
 脚を曲げたせいで、皿が傾いた。
 ガタンと、液体を飛び散らせて倒れる。
 飛散したそれが付いた忍の腋に舌を這わせる。
「んぁッッ」
「……やらしい声」
「し、ん……じらんね」
 オレは夢中で忍の体を楽しんだ。
 震える肩を噛み、首筋にキスマークを付けていく。
 ほとんど無防備に近いタンクトップを下にずらし、胸にも口付ける。
 そのたびビクつく忍が可愛くて仕方がなかった。
 もっともっと可愛い仕草が見たい。
 声が聞きたい。
 いつの間にかオレはベッドに忍を組み敷いていた。
 ギシ。
 その音に、目が怯える。
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