この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
kiss
第15章 Hair

 半分ほどなくなってから、カレンダーを見る。
 六月十二日。
「なんの日つったっけ?」
「ほいひとのひ」
「飲んでから言え」
 ビールグラスを突きつける。
 喉を鳴らしながら流し込むと、拓はニコリと顔を緩ませて言った。
「恋人の日」
「半年早くね?」
「外国のクリスマスは家族で祝うんだぞ」
「リア充の公認セックスの日だろ」
「前から思ってたんだけど、忍って童貞?」
 バキン、と噛み割ったカルビの骨をしげしげと眺める。
「これって殺傷力どのくらいだろうな」
「ごめんなさいごめんなさい」
 中の黒く固まった身を食みながら睨む。
「なんで今更?」
「大学だとそういう話になるから」
「てめえは何て答えてんだよ?」
「……童貞」
 笑いを堪えすぎて頬がひきつった。
「そんな顔するならむしろ罵れよ!」
「可哀想になあ」
 骨を皿に捨て、肉吸いの出汁を飲む。
「大学てヤることしか考えてない奴多すぎんだよな。その人数は上手く行かなかった数だろうが。自慢すんなって思うわ。たまに疲れるんだよな、そーゆーノリ」
 きょとんと拓を見てしまう。
 サラダをつついていた拓も目線に気づいて首を傾げる。
「……なに?」
「いや……意外つか。てめえも人との会話面倒になったりすんだなって」
「忍は俺をMCだとでも思ってんの」
「あー。そんな感じ」
 大袈裟に溜め息を吐かれる。 
「ペラペラ喋れんのなんて忍の前くらいだっつの」

 こいつ。

 数秒静止してしまった俺は、口を押さえて何かを言おうとした自分を閉じ込めた。
 末期だ。
 いや、アメリカ行った時点で自覚はしてたが。
 どんだけ好きなんだよ。
 こいつのこと。
「忍ちゃん?」
「コーラおかわり。注げ」
「手酌は出世しないんだっけ?」
「しても仕方ないけどな」
「俺は黒スーツで社長室で足組んでる忍見たいなあ。あっでもそしたら美女秘書雇うんだろ!? やべえダメだ。忍のプライベートがリークされる」
「妄想で慌ててんじゃねえよ」
 黒スーツでって。
 格好良いのか、それ。
 いまいちこいつのツボがわかんねえんだよな。
 会ったときからだが。
 こないだPC用眼鏡を着けていただけで悶絶していたくらいだ。
 どこかしらストライクポイントがあるんだろ。
 すっと視線を拓の首筋に移す。
 綺麗な喉仏の陰。
 背中の筋肉が少し目立つ肩ライン。
/187ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ