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kiss
第4章 ★rouge

 「今日はありがとっ」
 舞を見送る。
 満足顔。
 それを見るだけで幸せ。
 だったのに。
 私は痛む胸を握り締めたい気持ちに駆られる。
 鉄の監獄が舞を連れ去ってしまう。
 窓から手を振る。
 振り返す前に行ってしまう。
 寂しさだけが残る。
 アナウンスを聞きながら、私は駅を出た。

 家に帰り、ベッドに横たわる。
 さっきまで舞が座っていた場所。
 ほんのり温かい気がする。
 知ってる。
 これは錯覚だって。
 ただ、舞が居たってだけで、私はもっと私の部屋が好きになる。
 シーツの跡を指でなぞる。
 甘い香り。
 あの子の残り香にいつも麻痺する。
 甘くて、儚くて。
 好き。
 ああ、好き。
 本当に大好き。
 舞。
 指がスカートの中に伸びる。
 下着に這わせる。
 触る前から湿っている。
 窪みに中指をなぞらせると、快感にギュッと目を瞑った。
 そのまま緩く擦る。
 唇を噛んで声を堪える。
 チュプ、と指に液体が絡まる。
 「……ダメ」
 手を止める。
 後を引く喪失感と罪悪感。
 枕にボフンと顔を埋める。
 舞は親友。
 きっと舞もそう思ってる。
 こんな感情、異常。
 わかってる。
 濡れた指先を見つめる。
 滴り落ちそうな雫をそっと舐める。
 「……変な味」
 ウェットティッシュで拭き取り、また倒れた。
 濡れた脚の間にゾワゾワする。
 いじりたい。
 弄って。
 頭の中で声を上げる自分から耳を塞ぐ。
 「ふ……ッッ……く」
 気づけば泣いていた。
 淋しい。
 どうしたらいいのかわからない。
 舞。
 舞に触りたい。
 一緒に気持ちよくなりたい。
 親友。
 親友なんかじゃない。
 ずっと、ずっと舞に恋してる。
 あの緩く開いた唇。
 どんな味がするんだろう。

 電気を消して、布団を頭まで被る。
 荒い息が落ち着かなくて、また手を忍ばせてしまう。
 我慢なんて出来た試しがないもの。
 ベッドの脇の引き出しから歪な形の棒を取り出す。
 男性器をかたどったもの。
 スイッチを押すと、円を描くようにうねる。
 ネットで購入した。
 そろそろと下腹部に持っていく。
 もう何度も入れたソレに、ねだるように疼く中心。
 グチュ。
 「……ぅくッ」
 その瞬間さえ過ぎればすっと入っていく。
 息がさらに荒くなる。
 苦しいくらいの圧迫感が丁度いい。

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