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kiss
第9章 finger
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帯乃は意地悪く唇を歪めた。
「ねえ、タヤちゃん。謝るんなら一晩付き合ってくんない?」
「酒……ですか」
「アッチの処理」
「へ?」
帯乃はタクシーを止めて乗り込んだ。
戸惑うタヤを引き入れる。
「どこ行くんですかっ」
「イイトコ。運転士さーん。あの信号を左に曲がって道なりに行って」
「はいよ」
車が発進する。
シートベルトを締めながらタヤは目を泳がせていた。
景色を眺める隣のスターをちらちら見ながら。
「ここで」
壱万円を置いて外に出た帯乃を追う。
目の前には超高層マンション。
余りの高さに首が痛むほどだ。
「何してんの、早く来なよ」
電子ロックを解除し、豪勢なロビーの向こうで帯乃が呼んだ。
二人はエレベーターに乗り最上階に上がった。
ウイーン。
一歩踏み出してからタヤは目を疑った。
扉が一つしかないのだ。
「ま……まさか」
「ん? ああ、ココ買い占めちゃった」
「帯乃さんの家ですかっ」
「別宅、が正しいけどね」
「本宅があるんですね……」
「そっちは凄いよ」
そう言いながら玄関に入っていく。
後から続いたタヤは言葉を失った。
黒いシックな壁を点々とライトが下から照らし上げ、奥に見えるリビングにはシャンデリアが見える。
美しい像が廊下に並びこちらを見下ろしてくる。
何もかもが圧倒された。
リビングの壁一面に並ぶCDにも、絨毯の広さにも。
「な……何畳あるんですか」
「三十……三十五?」
上着を脱ぎながら帯乃は曖昧に答える。
「えっ。うわ、すげ……」
口を押さえてしばらくタヤは部屋を見渡した。
その様子が余りに可愛いので帯乃は携帯でパシパシ撮るが、気づく余裕もないようだ。
「感無量ですって顔してる」
「いやその……感無量です」
「あはははっ。ところでタヤちゃん迷ってたの、さっき」
「あ、はい」
即答だったのが可笑しくて帯乃は噴き出した。
「東京初めて?」
「慣れなくて……」
「明日入りの前に案内したげるよ」
「えっ。明日?」
「ねえ、タヤちゃん。謝るんなら一晩付き合ってくんない?」
「酒……ですか」
「アッチの処理」
「へ?」
帯乃はタクシーを止めて乗り込んだ。
戸惑うタヤを引き入れる。
「どこ行くんですかっ」
「イイトコ。運転士さーん。あの信号を左に曲がって道なりに行って」
「はいよ」
車が発進する。
シートベルトを締めながらタヤは目を泳がせていた。
景色を眺める隣のスターをちらちら見ながら。
「ここで」
壱万円を置いて外に出た帯乃を追う。
目の前には超高層マンション。
余りの高さに首が痛むほどだ。
「何してんの、早く来なよ」
電子ロックを解除し、豪勢なロビーの向こうで帯乃が呼んだ。
二人はエレベーターに乗り最上階に上がった。
ウイーン。
一歩踏み出してからタヤは目を疑った。
扉が一つしかないのだ。
「ま……まさか」
「ん? ああ、ココ買い占めちゃった」
「帯乃さんの家ですかっ」
「別宅、が正しいけどね」
「本宅があるんですね……」
「そっちは凄いよ」
そう言いながら玄関に入っていく。
後から続いたタヤは言葉を失った。
黒いシックな壁を点々とライトが下から照らし上げ、奥に見えるリビングにはシャンデリアが見える。
美しい像が廊下に並びこちらを見下ろしてくる。
何もかもが圧倒された。
リビングの壁一面に並ぶCDにも、絨毯の広さにも。
「な……何畳あるんですか」
「三十……三十五?」
上着を脱ぎながら帯乃は曖昧に答える。
「えっ。うわ、すげ……」
口を押さえてしばらくタヤは部屋を見渡した。
その様子が余りに可愛いので帯乃は携帯でパシパシ撮るが、気づく余裕もないようだ。
「感無量ですって顔してる」
「いやその……感無量です」
「あはははっ。ところでタヤちゃん迷ってたの、さっき」
「あ、はい」
即答だったのが可笑しくて帯乃は噴き出した。
「東京初めて?」
「慣れなくて……」
「明日入りの前に案内したげるよ」
「えっ。明日?」
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