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私を見て
第3章 宮殿
エストの言葉に、いやエストから単に離れたかったのだろう。私はお風呂を出た。

そもそもお風呂と言って良いのかどうか。
映画か何かで見るような中世っぽい内装で、御付きの女性が控えてて、裸で出てきた私にタオルを巻く人、身体を拭く人、何か服の様な物を巻く人。
とにかくたくさんの人に囲まれた。
助けを求めた私にエストが笑いながら、諦めろと言うから。
いや、言われなくともたくさんの人に囲まれたら。
抵抗が出来ないものと私は学んだ。
肌に何かクリームを塗られ、水分補給に甘酸っぱいジュースを飲めば気持ちも落ち着いて。

やっと解放された私は。
やっと外に出た。

廊下には風が吹き込み、やっぱり映画のセットの様な綺麗な屋敷の中だった。
廊下に出たところで、私には目的地も無ければ進む方向すらわからない。
ただ、勢い任せに部屋から出たのだ。


「へぇ~綺麗じゃん。民族衣装似合ってる」

天井やら壁やら見ていた私は気付かなかった。
加藤さんがほんの少し離れた場所に居たことを。

「民族衣装が綺麗なんです」
なんと言えば良いのだろうか。
腰から下はゆったりとしたパンツで足下が締まっている。
上半身はおへそまでのチューブトップの様な服、その上に長い長い布を綺麗に巻かれている。
ほどいたら私には直せません。

「オレには長谷川ちゃんが綺麗だよ」
「ちゃん付けは止めて下さい」
「じゃ。茉莉?」
「名字で呼んで下さい」

少しずつ詰められる距離に逃げ場を探す。
ここは廊下だけど、走って逃げる?
追いかけられたら一緒だし。
でも、意思表示にはなる?

「辻がさ、茉莉ちゃんに近付くと怒るんだよ」
‥聞いてないな‥‥

「それはさ、独占欲?それとも昔、彼女だったとか?」
「ただの同級生です」
「いや。違うな。ただの同級生な感じじゃない。なぁ、そうだろ」

「‥‥!」
強い力で後ろに引かれた身体は誰かの腕の中に居た。


背中越しの体温。
回った腕の位置は私の首辺りで。
文字通り腕の中にすっぽり収まった状態で。
私を掴む手が少し強めに力が入っていて。


それは忘れようとした記憶を呼び戻す。

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