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私を見て
第3章 宮殿



期待してはいけない、ってわかってた。
もしかしたら友達と旅行かもしれないけど、可愛らしい服装してて、どちらかと言ったら、彼氏と旅行っぽくて。
彼氏が居たっておかしくない。


だから今さらどうこう期待しちゃいけない、って決めてた。
なのに、あの時みたいに抱きしめてしまったら、先を望みたくなる。
あの時みたいに真っ赤な顔をして欲しかった。
そしたら躊躇しなかったのに。
強ばったままの身体が全身で拒否しているみたいで。


長谷川から離れた俺は、少しでも遠く離れた。
だからすぐ気付けなかった。


呼吸を乱して長谷川が廊下に倒れていたことを。
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