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私を見て
第3章 宮殿
エストに呼ばれた部屋は甘い香りが立ち込めていた。
でも、嫌な匂いでは無かった。
「何の用だよ?」
カーテン?の様な物に遮られ、部屋の中央はよく見えない。
「彼女を助ける気はあるか?」
「は?」
そのカーテンはゆっくりと広げられた。
そこにはベッドがあって、長谷川が寝ていた。
「茉莉は記憶の中に閉じ込められた。この強い魔法の力が、茉莉の記憶を侵食している」
「はぁ??」
「魔法の力は記憶と連動する。この地は魔法が支配する地。今のままだと茉莉は弱って消えてしまう」
エストの言葉が信じられなくて、ベッドに近付いた。
「呼吸も安定しない、顔も青ざめたままだ。体温も下がってる。辻、お前と会話した後からだ」
いや、青ざめたというより白くなっている。
「茉莉を助けたいなら協力する。お前が協力しないのなら、茉莉に好意を持つ者全員にあたるさ。
いや、お前は助けるだろ?」
エストのその誘いは悪魔の囁きなんだろうか。
俺はその誘いを、受けた。