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私を見て
第5章 エストの秘密
でも、そんな想いは無惨にも砕かれる。
長谷川が泣いていた。
そんなに嫌?
彼氏の話聞かれたことが?俺としたことが?
触られることが?
長谷川の泣き顔を見ながら、なお泣かしたくなる。
傷付けて、傷付いた顔を見たくなる。
俺だってその位傷付いたんだ。
耳に唇を寄せて、俺しか知らない長谷川の話をする。
たったの一夜でも、俺と長谷川との一夜だ。
どうしようか。このままあの部屋に戻ろうか。
押さえつけたまま唇を塞いで。
吐息すら絡め取って。
抵抗すら出来なくしてから。
それから伝えようか………
蓄積され続けた想いを………
腕の中から逃げようと力を入れる長谷川の身体を強めに引き寄せて背中をなぞる。
小さく震える長谷川に満足した。
どんな形だって俺を意識して欲しい。
「うわぁ、やっといた!」
突然の乱入者に腕から長谷川が離れた。
乱入者の声はわかっている。
俺は乱入者より長谷川を見ていた。
長谷川は俺から視線を外して。でも逃げないでいた。
「あ~龍?オレ話して良いかなぁ」
走って来たのだろう、荒い息のまま。
そのわりに、この状況に気を回してくれた親友に感謝だった。
「上がマズイことになってる。加藤が話聞くのに残ってくれた」
「マズイって??」
「エストの返答次第ではここは戦場になるだろう」