この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐
翌日から北白川家はちょっとした慌ただしさと賑やかさに包まれ、いつになく活気付いていた。
三越の外商がありとあらゆるドレスや靴、帽子、髪飾り、手袋など必要なものを全て持ち込み、二人の美しき令嬢に試させようとしている。
梨央は引っ込み思案の性格なので、あらかじめ希望のドレスを伝え、数着しか試さず、あっと言う間に試着を終えてしまう。そして、隣の綾香の試着している部屋にいそいそと向かう。

綾香の部屋は賑やかだった。
「…もっと胸が強調されるドレスがいいんですけど〜」
「綾香様、お茶会はアフタヌーンドレスですので、腕や首筋が露わになってはなりません」
乳母のますみが間髪を入れて釘をさす。
「え〜、つまんないの。…じゃあなんでもいいや」
投げやりになる綾香。
…と、梨央が遠慮がちに中に入り
「…お姉様には紅色がお似合いだと思うの…」
と提案し、並べられた中から一際華やかなスカーレットカラーのドレスを選び綾香に差し出した。
それは綺麗な紅で、襟元と袖口が華やかな紅のレースで縁取られ、ウエストはセクシーに絞られており、長いスカートはたっぷりギャザーが寄り、ゴージャスな仕立てになっている。
胸元から襟元までが薄く透けるシフォン素材なので華やかなだけでなく大人の色気を醸し出すようなスタイルであった。
「あ、これいいわね。…さすが梨央。私に似合うものをちゃんと分かってくれているのね」
綾香は梨央の頬にキスをする。
梨央はそれだけで蕩けそうな表情になった。
百貨店の社員は目の前で繰り広げられる美しき伯爵令嬢たちの姉妹にしては濃厚なスキンシップに目を奪われる。
北白川家のご令嬢達以上に美しい令嬢を社員たちは見たことがない。
このように麗しい伯爵令嬢たちがお茶会に訪れたら、他の来賓はどのように目を見張るのか…
想像するだけでワクワクしてくるのだった。
屋敷の下僕やメイドも用があるふりをして、二人のドレスをこっそり見にきては、小さく歓声をあげるのだった。

月城はそんな使用人たちを時には叱りながらも、目を細めて二人を眺める。
…叶男爵夫人は交友関係もお広い。来賓の数も大変なものだ。
そのお歴々にまずは綾香様をお披露目できることは願っても無いチャンス!
梨央様もお久しぶりのお茶会参加となるわけだし…。
なんとしてもこのお茶会を成功させなければ…!
月城の眼鏡の奥は熱い情熱に燃えていた。
/226ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ