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真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐
綾香と梨央が下僕に導かれ、お茶会の広間に入ると、談笑していた来賓の話し声が一斉に止んだ。
皆、到着した美しき伯爵令嬢達に釘付けである。

『まあ、梨央様だわ。お久しぶりだこと…!相変わらず、恥ずかしがり屋さんなのね…おどおどして…もう18歳でいらっしゃるはずだけど…』
『北白川伯爵が甘やかしすぎたのですよ。お身体がお弱いとはいえ、デビュッタントもまだなんて…一人前のレディとは言えませんわ』

…梨央には来賓の眼差しが全て中傷や揶揄に思えてしまう。
身体が強張り、脚が竦む。
…と…
不意に、梨央の腕が温かいものに包まれた。
「…お姉様…」
綾香が微笑みながら梨央の腕を組んでいた。
「…大丈夫…梨央」
綾香の腕がぎゅっと梨央を抱く。
梨央は涙を堪えて微笑む。

そして人々の注目は綾香に移る。
『…お隣は…ああ、あれが伯爵の落とし胤のお嬢さんね?』
『大層お綺麗だけど…なんだか凄みがあるわね。レディらしくないわ』
『それはそうですわよ。母親は芸者。下品な妾の子ですもの。』
『まあまあ、妾の子が厚かましく男爵夫人主催のお茶会に?』
『あの派手なドレスをご覧になって?』
『でも、綺麗だわ…』
『お黙りなさい。貴方は子供だから何もわかってないのよ』

…まあ、こんなところだろうね。
綾香は人々の心の陰口を想像し肩をすくめる。
陰口や非難なんて慣れてる。
貧しかった子供の頃から…歌手になってからだって心ない中傷はしょっちゅうだった。
だから強くなった。
こんな愚かな奴らに負けてなるものかと必死で生きてきた。
だって、私には夢があったし、希望があったから…。
そして今は…。
隣で今にも崩れ落ちそうに緊張している梨央を見つめる。
…今は、私には梨央がいる。
護らなくてはならない大切な妹…。
妹であり、私の最愛の人…。
綾香は梨央を抱く腕に力を込め、そして、顔を上げて笑みを浮かべ、まっすぐに歩き続けた。

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