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真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐

綾香と梨央がテーブルに着くと、同じテーブルの貴婦人達が今までのお喋りを止め、二人に注目する。
梨央は強張りながら席に着く。
そんな梨央に優しく声をかけて来た人物がいた。
梨央の左隣の九条子爵夫人…叶夫人の親友で、梨央が叶夫人の次に話し易い人の良い夫人である。
どうやら叶夫人が気を利かせて配席してくれたらしい。
「梨央さん、お久しぶりね。すっかりお美しくご成長されて…だいぶお元気になられたようね?良うございましたね」
「…ありがとうございます…ご無沙汰してしまい…申し訳ありません…」
恐縮する梨央。
九条夫人は綾香にも優しく話しかける。
「そちらがお姉様の綾香様ね?…まあ…まるで大輪の花のようにお美しい方だこと…」
梨央が嬉しそうに綾香に九条夫人を紹介する。
「…お姉様、こちらは九条子爵夫人です。夫人には昔から大変お世話になっているのです…」
綾香は華やかな美貌に魅惑的な笑みを浮かべる。
「初めまして。綾香でございます。お目にかかれて光栄でございます」
「九条でございます。こちらこそ、どうぞよろしくね。今日はお二人にお会いできるのを楽しみにしておりましたのよ。…まあ、本当に…お噂通りのお綺麗なお姉様ね。正に美人姉妹だわ」
明るく賞賛する声に近くの席の夫人が九条夫人に声をかける。
「九条様、私にもご紹介してくださらないこと?綾香様はおいくつでいらっしゃるのかしら?」
「23歳です。…結構良いお年頃になってしまいました」
と綾香がユーモアを交えて答えるのにテーブルから好意的な笑いが起こる。
「あら、まだまだお若いわ。…ねえ、次回は私のお茶会にいらして。我が家にも綾香様と同い年の息子がいるのですよ。是非ご紹介したいわ」
と、積極的にアプローチしてくる夫人。
それに対して負けじと
「まあ、武田様ったら…それなら私のお茶会にも来ていただきたいわ」
と対抗する夫人も出て来る。
そう、実は皆、名門北白川伯爵家の美貌の令嬢方と懇意になりたくて仕方なかったのだ。
梨央がようやくほっとし、柔らかな微笑を浮かべ、綾香と嬉しげに顔を見合わせた時…。
「まあ…随分賑やかだこと…。ああ…下品な芸者風情の妾の子がいるからなのですね。嫌ねえ、ここをお座敷と勘違いされているのかしら?」
冷たく侮蔑に満ちた高い声が飛んだ。
梨央は強張りながら席に着く。
そんな梨央に優しく声をかけて来た人物がいた。
梨央の左隣の九条子爵夫人…叶夫人の親友で、梨央が叶夫人の次に話し易い人の良い夫人である。
どうやら叶夫人が気を利かせて配席してくれたらしい。
「梨央さん、お久しぶりね。すっかりお美しくご成長されて…だいぶお元気になられたようね?良うございましたね」
「…ありがとうございます…ご無沙汰してしまい…申し訳ありません…」
恐縮する梨央。
九条夫人は綾香にも優しく話しかける。
「そちらがお姉様の綾香様ね?…まあ…まるで大輪の花のようにお美しい方だこと…」
梨央が嬉しそうに綾香に九条夫人を紹介する。
「…お姉様、こちらは九条子爵夫人です。夫人には昔から大変お世話になっているのです…」
綾香は華やかな美貌に魅惑的な笑みを浮かべる。
「初めまして。綾香でございます。お目にかかれて光栄でございます」
「九条でございます。こちらこそ、どうぞよろしくね。今日はお二人にお会いできるのを楽しみにしておりましたのよ。…まあ、本当に…お噂通りのお綺麗なお姉様ね。正に美人姉妹だわ」
明るく賞賛する声に近くの席の夫人が九条夫人に声をかける。
「九条様、私にもご紹介してくださらないこと?綾香様はおいくつでいらっしゃるのかしら?」
「23歳です。…結構良いお年頃になってしまいました」
と綾香がユーモアを交えて答えるのにテーブルから好意的な笑いが起こる。
「あら、まだまだお若いわ。…ねえ、次回は私のお茶会にいらして。我が家にも綾香様と同い年の息子がいるのですよ。是非ご紹介したいわ」
と、積極的にアプローチしてくる夫人。
それに対して負けじと
「まあ、武田様ったら…それなら私のお茶会にも来ていただきたいわ」
と対抗する夫人も出て来る。
そう、実は皆、名門北白川伯爵家の美貌の令嬢方と懇意になりたくて仕方なかったのだ。
梨央がようやくほっとし、柔らかな微笑を浮かべ、綾香と嬉しげに顔を見合わせた時…。
「まあ…随分賑やかだこと…。ああ…下品な芸者風情の妾の子がいるからなのですね。嫌ねえ、ここをお座敷と勘違いされているのかしら?」
冷たく侮蔑に満ちた高い声が飛んだ。

