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真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐

梨央は驚きの余り目を丸くする。
「え⁈わ、私がですか⁈…こ、こんな大勢の前で…?」
梨央は今まで人前でピアノを演奏したことはない。
「お願い!梨央しかいないの!」
綾香が手を取り、頼む。
梨央は小さく頷く。
「…お姉様のお役に立つなら…」
「ありがとう!梨央!」
綾香は梨央の手を取り、ピアノの前に進む。
梨央は緊張しながらピアノの椅子に座る。
綾香は簡単に説明する。
「…こないだ演奏してくれた『恋は優し、野辺の花よ』覚えてる?あれをまず歌う。それからイタリア歌曲『ホフマンの舟歌』…それから…」
梨央は必死に頷く。
「…いい?梨央…」
「はい。お姉様」
綾香は一礼し、浅草オペラを歌い出した。
綾香の声は、華やかで透明感もあり、どこまで伸びやかに伸び、広間を包み込むように広がる。
艶っぽいのにどこか慈愛深く、聴く人の心を穏やかにする声だ。
年若い令嬢が呟いた。
「…浅草オペラって、ちっとも下品じゃないのね、お母様。すごくロマンチックで素敵」
「そ、そうね…」
梨央の演奏は綾香の歌を邪魔せず、寧ろ綾香の歌を引きたたせるような見事な調和を見せていた。
とてもぶっつけ本番とは思えないような腕前だった。
「…梨央様のピアノも素敵…」
「本当に…お上手ね」
夫人達の中から賛美の声が上がる。
二人の歌と演奏を真剣に聴いていた月城が、思わず目頭を押さえた。
「…月城?大丈夫か?」
「…はい…申し訳ありません。…まさか…梨央様が…このように大勢の方々の前で…あのようにご立派にピアノをお弾きになる日が来るなんて…夢のようで…」
縣は優しく笑いながら肩を叩く。
「…君はまるで梨央さんの親代わりだな…。しかし…本当に。あんなに堂々と見事にピアノの演奏をする梨央さんを見られるなんて…。やはりお二人は素晴らしい稀有な姉妹だ…」
綾香は、親しみやすいイタリア歌曲も日本語で歌う。
その楽しいメロディーを聞きつけ、庭で子供達だけでお茶会をしていた来賓客の幼い姉弟達が、嬉しそうに中に入り、梨央のピアノの周りに集まりだした。
梨央は驚きながらも子供達の可愛らしい姿に思わず微笑む。
白いドレスや白い正装姿で、梨央の周りで嬉しそうに飛び跳ねながら、一緒に歌を口ずさむ可愛らしい子供達。
綾香は優しく笑いかけながら歌う。
広間が思わぬ可愛らしい光景に包まれ、来賓客から温かい笑いが漏れる。
「え⁈わ、私がですか⁈…こ、こんな大勢の前で…?」
梨央は今まで人前でピアノを演奏したことはない。
「お願い!梨央しかいないの!」
綾香が手を取り、頼む。
梨央は小さく頷く。
「…お姉様のお役に立つなら…」
「ありがとう!梨央!」
綾香は梨央の手を取り、ピアノの前に進む。
梨央は緊張しながらピアノの椅子に座る。
綾香は簡単に説明する。
「…こないだ演奏してくれた『恋は優し、野辺の花よ』覚えてる?あれをまず歌う。それからイタリア歌曲『ホフマンの舟歌』…それから…」
梨央は必死に頷く。
「…いい?梨央…」
「はい。お姉様」
綾香は一礼し、浅草オペラを歌い出した。
綾香の声は、華やかで透明感もあり、どこまで伸びやかに伸び、広間を包み込むように広がる。
艶っぽいのにどこか慈愛深く、聴く人の心を穏やかにする声だ。
年若い令嬢が呟いた。
「…浅草オペラって、ちっとも下品じゃないのね、お母様。すごくロマンチックで素敵」
「そ、そうね…」
梨央の演奏は綾香の歌を邪魔せず、寧ろ綾香の歌を引きたたせるような見事な調和を見せていた。
とてもぶっつけ本番とは思えないような腕前だった。
「…梨央様のピアノも素敵…」
「本当に…お上手ね」
夫人達の中から賛美の声が上がる。
二人の歌と演奏を真剣に聴いていた月城が、思わず目頭を押さえた。
「…月城?大丈夫か?」
「…はい…申し訳ありません。…まさか…梨央様が…このように大勢の方々の前で…あのようにご立派にピアノをお弾きになる日が来るなんて…夢のようで…」
縣は優しく笑いながら肩を叩く。
「…君はまるで梨央さんの親代わりだな…。しかし…本当に。あんなに堂々と見事にピアノの演奏をする梨央さんを見られるなんて…。やはりお二人は素晴らしい稀有な姉妹だ…」
綾香は、親しみやすいイタリア歌曲も日本語で歌う。
その楽しいメロディーを聞きつけ、庭で子供達だけでお茶会をしていた来賓客の幼い姉弟達が、嬉しそうに中に入り、梨央のピアノの周りに集まりだした。
梨央は驚きながらも子供達の可愛らしい姿に思わず微笑む。
白いドレスや白い正装姿で、梨央の周りで嬉しそうに飛び跳ねながら、一緒に歌を口ずさむ可愛らしい子供達。
綾香は優しく笑いかけながら歌う。
広間が思わぬ可愛らしい光景に包まれ、来賓客から温かい笑いが漏れる。

