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真珠浪漫物語
第13章 茶碗の中の嵐
綾香が歌い終わると、広間から一斉に大きな拍手が沸き起こった。
どの来賓も興奮と感動の表情で綾香とそして梨央に温かい拍手をいつまでも送り続けた。
綾香は深々とお辞儀し、広間を見渡す。
縣が立ち上がり、拍手をしている。
梨央も恥ずかしそうに、ピアノから立ち上がり、深々とお辞儀をした。
月城が広間の隅から力強く拍手をしていた。
月城の目は心なしか潤んでいるように見える。
梨央は月城を見つめ、ほっとしたように笑いかけた。
月城は口元に笑みを浮かべ、小さく目礼した。

そして正規のお茶会が滞りなく済むと、若い令嬢達が綾香と梨央のところに押し寄せた。
「綾香様、今度私達、チャリティーバザーを主催するのですけど、ぜひその会場でお歌を歌っていただけませんか?赤十字のバザーで売り上げ金を病院に寄付するのです。綾香様の素晴らしい歌を聴いていただけたら、お客様から沢山寄付金が集まると思うのです!」
純粋そうな令嬢は美しい綾香を近くで見て興奮で赤くなる。
「…喜んで」
綾香はそんな令嬢に魅惑的な笑顔を向ける。
令嬢はその笑顔を見てうっとりとし、思わずよろめく。
次の令嬢が押しのけるように二人の前に出て来て
「あの、梨央様。梨央様にもその時にピアノを弾いていただきたいのですが…」
梨央はびっくりして思わず声をあげる。
「え?わ、私ですか?」
「はい!ピアノ、すごくお上手でした。…徳川様はミスタッチばかりなんですもの…全然お稽古なさらないから…」
隣の令嬢をじろりと睨む。
「ちょっと…!貴方失礼ね!」
むっとする令嬢。
「だって本当のことですもの!梨央様のピアノを少しは見習ってよ!」
「まあまあ、喧嘩しない喧嘩しない」
と、慌てて綾香が仲裁する一幕があったが、そんな様子を見て梨央は楽しそうに笑っていた。
梨央には同年代の友人がいないので、こんなありふれた一コマも新鮮な出来事なのだ。
若い令嬢達に囲まれ、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに話しをする梨央を綾香は愛しげに見つめる。


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