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真珠浪漫物語
第15章 Under The Rose
綾香は反論する。
「あの店は…浪漫は、私を歌手として初めて認めてくれて、雇ってくれた店なんだよ!…そりゃ店は小さいし、ボロいかもしれないけれど、オーナーは良い人だし、バンドのみんなは腕は確かだし、なにより音楽や歌を愛してる素晴らしい奴等なんだ。バーテンダーやボーイだって本当にいい奴ばかりで…あそこで働いているみんなは私の家族みたいなものなの!そんな場所を忘れろだなんて…!」
「…お、お姉様…」
梨央はおろおろとする。
「…綾香様、綾香様は名門北白川伯爵家のご令嬢なのです。…もはや彼らとは住む世界が違うのです。これは紛れも無い事実なのです。
…綾香様も段々お分かりになっていらした筈です」
押し黙ってしまった綾香の顔を、月城は優しく見つめ、声を和らげた。
「お歌のお勉強をなさりたいなら、この屋敷でご存分になさって下さい。一流の音楽教師を手配致します。お歌を歌いたいと仰るなら、そちらも協力を惜しみません。
…綾香様、どうかご理解下さいませ。貴方様の今のお立場を…」
「……」
「…お姉様…」
梨央はじっと考え込む綾香を悲しげに見つめ、言葉を失うのだった。
「あの店は…浪漫は、私を歌手として初めて認めてくれて、雇ってくれた店なんだよ!…そりゃ店は小さいし、ボロいかもしれないけれど、オーナーは良い人だし、バンドのみんなは腕は確かだし、なにより音楽や歌を愛してる素晴らしい奴等なんだ。バーテンダーやボーイだって本当にいい奴ばかりで…あそこで働いているみんなは私の家族みたいなものなの!そんな場所を忘れろだなんて…!」
「…お、お姉様…」
梨央はおろおろとする。
「…綾香様、綾香様は名門北白川伯爵家のご令嬢なのです。…もはや彼らとは住む世界が違うのです。これは紛れも無い事実なのです。
…綾香様も段々お分かりになっていらした筈です」
押し黙ってしまった綾香の顔を、月城は優しく見つめ、声を和らげた。
「お歌のお勉強をなさりたいなら、この屋敷でご存分になさって下さい。一流の音楽教師を手配致します。お歌を歌いたいと仰るなら、そちらも協力を惜しみません。
…綾香様、どうかご理解下さいませ。貴方様の今のお立場を…」
「……」
「…お姉様…」
梨央はじっと考え込む綾香を悲しげに見つめ、言葉を失うのだった。