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真珠浪漫物語
第16章 訪問者
「…私の昔の恋人。でももう過去の人…心配しないで」

…お姉様がかつて愛しあった方…。
その方が帰国されたのね…。

その日の夜、梨央は綾香の部屋をすぐに訪ねたかった。しかし、綾香の顔を見て、その話を直接聞く勇気も持てずに小一時間逡巡し、勇気を振り絞り、綾香の部屋に向った。

…綾香の部屋の扉は少し開いていた。
扉の隙間から、窓辺に腰掛け、外を見つめる綾香が見えた。
シャンパンゴールド色のナイトドレス…。
無造作に下ろした髪が色っぽく波打ち、さながら西洋絵画のような美しさである。
…そして、蓄音機からあのドイツ人歌手の歌が聞こえる。

…いつか、街灯りの側で会おう…
昔みたいに…


綾香が共に口ずさむ声も聞こえた。
美しく…少し哀しい声…。
梨央は、胸が苦しくなる。

…お姉様…もしかして…
まだ、その方がお好きなの…?

梨央が扉に背を向け、両手を胸の前で握りしめていると…
「…梨央?」
気配を察知した綾香が梨央に声をかける。
「…お姉様…」
梨央は綾香を振り返る。
その不安げな表情から全てを察した綾香は、穏やかに微笑みながら梨央の手を取る。
「…おいで、梨央」
綾香は梨央を部屋の中に引き入れる。

ドイツ人歌手のハスキーなアンニュイな歌声が聞こえる。
綾香は何も言わずに梨央を抱きしめる。
「…何を心配しているの…?梨央」
「…あの…私…」
口に出すのも怖くて躊躇っていると、綾香が囁いた。
「…昔の恋人のこと?」
「……」
綾香は梨央の額に自分の額をつけ、優しく笑った。
「…大丈夫。梨央が心配するようなことは何もないのよ」
「…でも…」
…お姉様は…まだその方を…思っていらっしゃるのではないのですか…?
聴きたいけれど、怖くて聴けないそのひとこと…。
綾香は梨央の心を読めるかのように答えた。
「…思っていないよ、大丈夫」
「お姉様…!」
綾香は梨央の顔を両手でそっと覆い、甘い吐息がかかりそうなほどの距離で見つめる。
「私が愛しているのは梨央だけ…信じて?」
梨央は涙で滲む瞳で必死に綾香を見つめ、頷く。
「…信じます…」
「…今の私には梨央が全て…愛してる…梨央…」
「…お姉様…んっ…」
…信じているけれど…不安なんです…
しかし、その言葉は声にはならず、綾香の情熱的なキスに絡めとられたのだった。


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