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真珠浪漫物語
第17章 昔みたいに…
それから、二人は綾香の長屋で慎ましやかに、けれど幸せに暮らし始めた。
当麻は昼間は大学。授業が終わり研究がない日は、家庭教師のアルバイトをいくつも掛け持ちして働いた。
綾香は昼間はフランス料理店の女給のアルバイト、夕方から夜にかけてカフェでの舞台があるので、平日はほぼすれ違いの日々だった。
しかし、たまの休日は二人で一日中仲睦まじく過ごした。
家事が不得手な綾香の為に、当麻が代わりに家のことをやってのけた。

ある日、当麻は臨時収入が入ったからと、牛肉を奮発し小さな台所で器用にボルシチを作りだした。
「大学のロシア人の留学生に教わったんだ。手作りのビーツも譲って貰ったから本格的なのができるよ。待っててね」
当麻の背中に抱きつきながら綾香が尋ねる。
「望己さんはお坊ちゃまなのにどうしてこんなに家事が上手いの?」
「僕の高校は全寮制だったからね。しかもテニス部だったから下級生は掃除洗濯、たまに先輩の料理まで作らされてさ…。…あの時の経験が今、生かされるとはなあ…」
いたずらっぽく笑いながら当麻は綾香を振り返る。
「…どうせ私は何もできませんよ〜だ」
綾香はちょっと膨れてアカンベーをする。
綾香は家事…特に料理がてんでダメだ。
たまには当麻の為にと、張り切ってオムレツを作ろうとしたのだが、卵を真っ黒焦げにしてしまい、長屋は煙りだらけ…隣の千がバケツを持ってすっ飛んで来たほどだ。
だが当麻はそんな綾香が愛しくてならない。
膨れる綾香を強く抱きしめ
「…綾香は何もしなくていいんだよ。君には歌があるんだから。他のことなんか僕がする」
と、甘くかき口説く。
「…そんな優しいことばかりを言わないで…幸せすぎて怖くなる…私…、幸せに慣れていないから…」
綾香は子供のように望己にしがみつく。
…16歳で母さんが死んで、天涯孤独の一人ぼっち…。
それからはずっと一人で生きてきた…。
貴方に出会うまでは…。
綾香の寂しく冷え切った心ごと、抱きしめてくれたのは望己だった。

「僕が綾香をもっともっと幸せにしてあげる。だから綾香はもっと僕に我儘を言って…」
もうやめてと抗議しようとした唇は案の定、望己の優しい唇に封印された…。

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