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真珠浪漫物語
第17章 昔みたいに…
…だが、幸せな日々はあっけなく打ち砕かれた。
ある日、綾香がカフェの仕事から帰宅すると…

家に入った綾香は、呆然と立ち竦んだ。
部屋の中は滅茶苦茶に荒らされ、何者かが土足で踏み込んだ跡があった。
綾香ははっとして、叫んだ。
「…望己さん?…望己さん!どこ…⁈」
二間しかない部屋を必死で探し回る。
…どこにもいない。
書き置きもない。
嫌な予感に綾香の脚はがくがく震えた。

そこに、千が駆け込んで来る。
「綾香!大変だよ!望己さんが…望己さんが連れていかれちゃったよ!」
「え…⁈」
「さっき、望己さんのお父さんて人が来て、望己さんに家に帰るように説得してたんだよ…望己さんが帰らない!て言い張っていたら…連れてきた屈強な奴等が望己さんを無理やり車に乗せて、連れていっちゃったんだよ!」
「…嘘…」
すうっと全身の力が抜け、その場に座り込んでしまう。
…望己さん‼︎
「望己さん、俺に…絶対また戻って来るから、綾香に待っていてって伝えてくれって叫んでた」
「…望己さん…!」
綾香は千の言葉を聞きながら溢れる涙を止めることができなかった。
…やっぱり…私には過ぎた幸せだったんだ…。
あんなに美しくて優しくて素晴らしい人…。
私とは身分も 何もかも違いすぎる人…。
でも…諦められない…!
だって私はこんなに望己さんが好き!
望己さんがいないと思うだけで、こんなに胸が張り裂けそうなほど苦しい…!

神様!
私に…あの人を返してください…!
お願いします!
あの人を返して…返して…返して…!
…綾香はひたすら泣きながら祈った。


まんじりともしないまま一夜が明けた。
綾香はある決意を秘め、身支度を整えると慌ただしく玄関の扉を開けた。
…と、目の前に明らかに高価な銀鼠の着物を着たブルジョア階級らしき中年の女性が立っていた。
はっと息を飲む。

綾香はその女性を見て、一瞬でなにかを察知した。
「…突然伺って、申し訳ありません。…当麻望己の母でございます」
当麻と良く似た面差しのその女性は、綾香に向かい静かに丁寧に頭を下げた。








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