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真珠浪漫物語
第17章 昔みたいに…
翌日も、当麻は屋敷の離れで軟禁状態にあった。
…綾香…
僕がいなくなって心配しているだろうな。
当麻は唇を噛みしめる。

綾香の美しいがどこか頼りなげな寂しげな顔が胸に浮かぶ。
…綾香は、勝気に見えて実はすごく繊細で傷つき易いんだ。
早く会って安心させたい…!

当麻は、そっと部屋を抜け出す。
廊下の陰で様子を伺う。
…昨日は見張りが多くて失敗してしまったが、今日は入ったばかりの書生の小柳だけだ。
なんとかなるかも知れない…。
当麻は縁側を降り、石垣の塀に手を掛けた。

その時…
「まだ性懲りもなく逃げ出そうとしているのか!」
背後から厳しい声が飛んだ。
振り返ると、英国製の高価なスーツ姿の端正だが冷たい容貌の父親が苦虫を噛み潰したような顔をして立っている。
傍らには母親が肩身が狭そうに隠れていた。

当麻は毅然と父親を睨みつけた。
「…お父様…!いい加減、僕を解放して下さい!二十歳になる息子を離れに監禁など馬鹿げていますよ」
…当麻は昔から父親が好きではなかった。
名門の嫡男として生まれ、秀才で、若くして病院の院長となった父…。
負け知らずで生きて来た父親には優しさや温かさを感じたことがあまりない。
芸者上がりの母親のことを無意識に見下している態度も嫌いだった。
…そんな父親の顔色を見ながら始終ビクビクとしている母親も…。

だから当麻は高校は全寮制を選び、早くから家から離れて生活することを選んだ。
…それを自立した逞しさと取った父親は、当麻を大層褒め称え、周囲に自慢したのは皮肉な話だったが…。

当麻の反論を聴き、父親は眼を細め、小さく笑う。
「…分かった。ではお前の望み通りに自由にしてやろう」
当麻は訝しむ。
「…?」
父親はハバナ産の葉巻に火をつけた。
「…明日、横浜から欧州行きの船が出る。お前はそれに乗り、ドイツに行くのだ」
「…どういうことですか?」
葉巻をさも美味そうに吸いながら父親は楽しげに語る。
「お前はベルリン大学に編入するのだ。留学の手続きは全て済ませた。…ドイツは世界一の医学の技術と権威を持つ国だ。その最高峰のベルリン大学で医学を学べるのだ。私に感謝して欲しいものだな」
…全てを察知した当麻は、一瞬で形相を変えて父親に掴みかかりに行った。



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