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真珠浪漫物語
第19章 Shall we dance ?
「梨央さん、ご機嫌よう!…ああ…今日も貴方は一段と美しい!まるで美の女神のアフロディーテのようだ!」
ジュリアンは梨央が待つ広間に入るなり、熱烈な抱擁をし、手の甲に熱いキスをする。
梨央は消え入りそうに俯き、蚊の鳴くような声で挨拶をする。
「…ご機嫌よう…ロッシュフォール先生…」
ジュリアンは悲しげに首を振る。
「ジュリアンと呼んで下さい。梨央さん。…本当は私も梨央と呼びたいのです」
「…梨、梨央?」
たじろぐ梨央にジュリアンは優しく肩を抱きながら梨央を見つめる。
「…ご心配なく。アムールな関係になるまでは梨央さん、とお呼びしますよ。…私は貴方の奥床しいところが大好きなのです。貴方こそ正に大和撫子だ!」
「…は、はあ…」

ダンスの教師、ジュリアン・ド・ロッシュフォールは万事この調子だった。
梨央をいたく気に入り、毎回のレッスンの合間に情熱的な言葉で口説くことに命を賭けている。
「…先月の九条子爵夫人の夜会で梨央さんを拝見した瞬間…私の中に神の啓示が降りたのです!…梨央さんこそ、私の愛の女神だ…運命の人だと…!…ですから月城さんから梨央さんのダンスの個人レッスンのお話を伺った時には、ああ!これは神の思し召しだ!と確信したのです!」
ジュリアンの美しい鳶色の瞳はキラキラと輝き、梨央を見つめる。
「…そんな…私など…気の利いたお話もできないつまらない人間です。…ロッシュフォール先生の思い違いですわ…」
タジタジになりながら、さりげなくジュリアンの手を離そうとする。
「そんなことはありません!…梨央さんのように、控えめで慎ましやかな蓮の花のような美しい人こそ、日本女性の鑑です!私は貴方のような理想的な大和撫子を探していたのです!」
ジュリアンは再び、梨央の手を握り情熱的にかき口説く。
「…あ、あの…ロッシュフォール先生…申し訳ないのですが、私はどなたともおつきあいする気はないのです。ですから、そういうおつもりでレッスンしてくださるのなら、もうお願いする訳にはまいりません…」
遠慮がちにしかし必死に断ると、ジュリアンは悲しげに額を押さえる。
「…分かっております。…失礼いたしました。梨央さんにお会い出来た嬉しさについ…お許し下さい。…梨央さん、貴方の美しさは罪だ…」
…悪い人間ではないのだが、とにかく梨央の手に負える人物ではなかった。
梨央は困ったように俯いた。

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