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真珠浪漫物語
第19章 Shall we dance ?
…その日の夜。
綾香と梨央は一階のバルコニーから月を眺めていた。
…庭の噴水越しに見事な月や星空が見える。
綾香は梨央が寒くないように暖かいストールを掛けてやりながら
「…今日は本当にヒヤヒヤしたわ。…あのフランス野郎め!あと少し私が踏み込むのが遅かったらどうなっていたか…!」
と言い、思い出したのか美しい眉を顰めた。
梨央は綾香に甘えたようにもたれかかり、申し訳なさそうに見上げた。
「…ごめんなさい。お姉様にご心配をおかけして…」
「月城に訳を話して、あいつはもうお役御免にしてもらったからね」
「…はい」
梨央がニコニコ笑う。
「…?どうしたの?」
「嬉しいんです。…先生には申し訳ないですけれど…私、お姉様がこんなに私のことを思ってくださるなんて、夢にも思わなかったから…すごく幸せ…」
梨央が綾香にしがみつく。
綾香は苦笑の溜息を吐く。
そして改めて梨央を強く抱きしめながら告白する。
「…もうずっと前から、私は梨央に夢中だよ。梨央の全てを独り占めしたい。…本当は可愛い梨央を誰にも見せたくない。…ずっとこの屋敷だけに閉じ込めていたい。そして、私だけを見ていて欲しい…」
熱烈な綾香の言葉を受け、梨央は涙を浮かべる。
「…お姉様がそう望まれるなら…私はずっとこの屋敷から外に出ません…お姉様だけを見てお姉様のことだけを考えて生きて行きたい!」
梨央の綺麗な涙をキスで吸い取る。
「ありがとう、梨央。…ねえ、これから一緒に広い世界を見ていこう。…なにがあっても梨央のことは私が護る。梨央にはいつも私がいる。…忘れないで…」
「…はい…お姉様…」
梨央は新たな嬉し涙を零す。
「…そうだ!梨央のダンスは私が教えることにしたから」
「え?本当に?」
「うん。月城も了解してくれた。あのフランス野郎で懲りたみたい」
「嬉しい!お姉様!」
梨央は綾香に抱きつく。
綾香は包み込むような笑顔を浮かべ、改めて手を差し伸べる。
「…Shall we dance?」
梨央は微笑みながら、膝を折り優雅に一礼する。
綾香の美しい手に手を重ねる。
二人は月明かりの中、ワルツを踊り始める。
…窓を開け放った部屋の中では月城が窓辺の蓄音機に「美しき青きドナウ」をセットし針を落とす。
美しき伯爵令嬢姉妹がワルツの曲に合わせて、夢のように踊るのを暫し眺め静かに微笑み、そっと部屋を後にしたのだった。
綾香と梨央は一階のバルコニーから月を眺めていた。
…庭の噴水越しに見事な月や星空が見える。
綾香は梨央が寒くないように暖かいストールを掛けてやりながら
「…今日は本当にヒヤヒヤしたわ。…あのフランス野郎め!あと少し私が踏み込むのが遅かったらどうなっていたか…!」
と言い、思い出したのか美しい眉を顰めた。
梨央は綾香に甘えたようにもたれかかり、申し訳なさそうに見上げた。
「…ごめんなさい。お姉様にご心配をおかけして…」
「月城に訳を話して、あいつはもうお役御免にしてもらったからね」
「…はい」
梨央がニコニコ笑う。
「…?どうしたの?」
「嬉しいんです。…先生には申し訳ないですけれど…私、お姉様がこんなに私のことを思ってくださるなんて、夢にも思わなかったから…すごく幸せ…」
梨央が綾香にしがみつく。
綾香は苦笑の溜息を吐く。
そして改めて梨央を強く抱きしめながら告白する。
「…もうずっと前から、私は梨央に夢中だよ。梨央の全てを独り占めしたい。…本当は可愛い梨央を誰にも見せたくない。…ずっとこの屋敷だけに閉じ込めていたい。そして、私だけを見ていて欲しい…」
熱烈な綾香の言葉を受け、梨央は涙を浮かべる。
「…お姉様がそう望まれるなら…私はずっとこの屋敷から外に出ません…お姉様だけを見てお姉様のことだけを考えて生きて行きたい!」
梨央の綺麗な涙をキスで吸い取る。
「ありがとう、梨央。…ねえ、これから一緒に広い世界を見ていこう。…なにがあっても梨央のことは私が護る。梨央にはいつも私がいる。…忘れないで…」
「…はい…お姉様…」
梨央は新たな嬉し涙を零す。
「…そうだ!梨央のダンスは私が教えることにしたから」
「え?本当に?」
「うん。月城も了解してくれた。あのフランス野郎で懲りたみたい」
「嬉しい!お姉様!」
梨央は綾香に抱きつく。
綾香は包み込むような笑顔を浮かべ、改めて手を差し伸べる。
「…Shall we dance?」
梨央は微笑みながら、膝を折り優雅に一礼する。
綾香の美しい手に手を重ねる。
二人は月明かりの中、ワルツを踊り始める。
…窓を開け放った部屋の中では月城が窓辺の蓄音機に「美しき青きドナウ」をセットし針を落とす。
美しき伯爵令嬢姉妹がワルツの曲に合わせて、夢のように踊るのを暫し眺め静かに微笑み、そっと部屋を後にしたのだった。