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真珠浪漫物語
第20章 運命の選択
綾香は慎重に返答をする。
「…私にはもったいないようなお話ですけれど…余りに急すぎて…」
竹子は穏やかに笑い返す。
「もちろんゆっくり考えて。貴方達二人は来月デビュッタントを控えているしね。
…もし、イタリアに渡る意思があるのなら、デビュッタントを無事に終えた後に返事をちょうだい」
「…はい、竹子様」
竹子は穏やかだが強い意思が感じられる眼差しで綾香を見つめる。
「これだけは伝えておくわ。…貴方は天才よ。私は貴方の歌を聴いて直感したの。この才能を埋もれさせておくのは惜しいと。貴方なら環のように世界で活躍する歌手になれると…」
「…竹子様…」
竹子は柔和だが威厳が漂う笑みを浮かべ、立ち上がり告げる。
「良い返事を、期待していますよ、綾香」
…その夜、梨央はいつものように無邪気に綾香の部屋を訪れることが出来なかった。
…お姉様が、遠くに行ってしまうかも知れない…。
お姉様が、私の元を離れ、世界へと旅立ち、手の届かないところに行ってしまうかも知れない…。
取り残された私は…
一体、どうすれば良いのだろうか…。
その恐怖に圧し潰されそうになりながら、梨央はまんじりともせず、一夜を明かした。
「…私にはもったいないようなお話ですけれど…余りに急すぎて…」
竹子は穏やかに笑い返す。
「もちろんゆっくり考えて。貴方達二人は来月デビュッタントを控えているしね。
…もし、イタリアに渡る意思があるのなら、デビュッタントを無事に終えた後に返事をちょうだい」
「…はい、竹子様」
竹子は穏やかだが強い意思が感じられる眼差しで綾香を見つめる。
「これだけは伝えておくわ。…貴方は天才よ。私は貴方の歌を聴いて直感したの。この才能を埋もれさせておくのは惜しいと。貴方なら環のように世界で活躍する歌手になれると…」
「…竹子様…」
竹子は柔和だが威厳が漂う笑みを浮かべ、立ち上がり告げる。
「良い返事を、期待していますよ、綾香」
…その夜、梨央はいつものように無邪気に綾香の部屋を訪れることが出来なかった。
…お姉様が、遠くに行ってしまうかも知れない…。
お姉様が、私の元を離れ、世界へと旅立ち、手の届かないところに行ってしまうかも知れない…。
取り残された私は…
一体、どうすれば良いのだろうか…。
その恐怖に圧し潰されそうになりながら、梨央はまんじりともせず、一夜を明かした。