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真珠浪漫物語
第5章 秘密と嘘
綾香の住まいは浅草の下町長屋にある。
長屋など初めて見る梨央は興味深そうに辺りを見渡す。
1番奥の長屋が綾香の家だ。
綾香はやや乱暴に扉を開ける
「…入って」
梨央はお行儀良く、
「お邪魔いたします…」
と、挨拶をしながら家に上がる。

六畳一間の和室。他には小さな流しがあるだけの小さな部屋だ。かろうじて広めの納戸があり、そこには綾香の舞台衣装が所狭しと仕舞われている。

梨央が部屋を見渡している。
綾香は梨央が次に失望の表情を浮かべるに違いないと予想していた。

…そうしたら言ってやるんだ。
だから言ったでしょ?
あんたと私じゃ住む世界が違うって…

たが、梨央の可憐な唇から出た言葉は
「…なんて素敵なお部屋でしょう!」
「は、はあ?」
「小さくて可愛い!お姉様のお衣装がたくさんありますね!…まあ、変わったランプ!なんだか異国風ですね」
「…ランタンね…」
「厨房はないのですか?」
「…台所ね、ないよ。私は料理はしないから」
「お食事はどうされているのですか?」
綾香は肩をすくめる。
「…隣が千の…あのカフェのバーテンダーなんだけど、隣の長屋なんだ。千のお母さんが親切でいつも千の家で食事してる」
「まあ、楽しそうですね!…ご入浴はどうされているのですか?」
「近くに銭湯があるからそこに行く」
「…銭湯?何ですか?それは」
「…お湯屋だよ。大きなお風呂があるの」
「温泉ですか?すごいわ!」
梨央の瞳はきらきら輝く。
「調子狂うなぁ…」
綾香はため息をつきながら煙草を取り出し、火をつける。
一服したとき、梨央が小さく咳こんだ。
綾香は慌てて煙草の火を消す。
「ごめん!煙、だめだった?」
梨央は申し訳なさそうに首を振る。
「…すみません。私、喘息気味で…あの…でも大丈夫ですから…」
「いいよ、別に。あんたに咳こませてまで吸いたくないもん」
梨央はじっと綾香を見つめ、嬉しそうに呟く。
「…お姉様…お優しいのですね」
「やめてよ、そんなんじゃないから」
顔を背ける綾香。
「…でもさ、これで分かったでしょ?…あんたと私は住む世界が違うって…。あんたの家はきっとお城みたいなんだろうし、私の家はこんなボロ屋。…姉妹なんてまやかしさ」
「そんなこと…!」
梨央がふいに綾香に抱きついた。
そしてそのまましがみついて離れない。
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