この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
真珠浪漫物語
第6章 嵐の夜のあとさき
綾香は諦めたように
「…おいで、お姫様」
梨央の手を引き、布団に潜り込んだ。
「本当に狭いんだから。私、寝相悪いからね。蹴飛ばしても知らないからね」
梨央はクスクス笑いながら綾香に甘えるように抱きついた。
そして、綾香の浴衣の胸元に顔を寄せる。
「…ちょっと…!」
「…私、どなたかとご一緒に寝むのは初めてです」
「へえ…」
「…お母様は私が小さな時に亡くなったので…あまり記憶がないのです。…お父様はお優しかったですし、乳母も執事も私を大切に育ててくれましたが、貴族の姉弟は子供の頃から自立しなくてはならないと厳しく躾けられたので、夜は広い寝台に一人ぼっちでした…嵐が来ても、雷が鳴っても…怖くて、心細くて、1人で震えて泣いていました」
記憶が蘇ったのか、梨央は身体を震わせ綾香の胸元に更にしがみつく。
「…ふうん…そうなんだ。…私は嵐や雷の夜は母さんがこうやって抱きしめてくれたよ」
そう言って、綾香は梨央をぎゅっと抱きしめる。
「…お姉様…!」
梨央はドキドキしながら、綾香の胸元に顔を埋める。
「…怖くないよ、大丈夫だよ…てね。…母さんに抱きしめてもらうと、すごく安心していつの間にか眠っていたっけ…だから…」
綾香は幼子を寝かしつけるように、梨央の背中を優しく叩く。
「…あんたも安心して寝な」
「…お姉様…」
梨央は下から綾香を見つめ、花が咲いたように笑った。
「…嬉しい…。今日は本当に幸せでした。こんな幸せな日は生まれて初めて…幸せすぎて眠るのがもったいないです…」
綾香は笑う。
「あんたなんかこれからもっともっと幸せな日が来るさ。さあ、ねんねしな、お姫様…」
「…お姉様…ありがとうございます…」
「…おやすみ、お姫様…」
暫く背中を叩いていると、梨央の静かな寝息が聞こえてきた。
綾香は少し上半身を起こし、梨央の寝顔をじっと見つめる。
「…可愛い顔して寝ちゃって…」
思わず愛しさがこみ上げて来る。
「…私の…妹…」
梨央の滑らかな頬を指先でそっと撫でる。
すると梨央が無意識に呟く。
「…お姉様…だいすき…」
夢の中なのに綾香に抱きつこうとする。
綾香は思わず笑い、再び梨央の背中を抱きしめる。
「…おやすみ、梨央…」
その清らかな額にくちづけをする。
そして二人はまるで幼い姉妹かのように、抱き合って眠りについたのだ。

/226ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ