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真珠浪漫物語
第7章 白薔薇の館へ
「待って!」
綾香の叫び声に梨央が助けを求めるように、手を差し出した。
「お姉様!助けて…」
梨央は子供のように涙を流している。
…泣かないでよ。
なぜだかわからないけれど、こっちまで悲しくなる。
…まだ何回も会ったことないのに…
妹…と言っても半分しか血が繋がってないのに…
でも…
妹なんだ…。
あの子は私の妹…。この世でたった一人の血を分けた妹…。

気がつくと綾香は叫んでいた。
「私があんたのお屋敷に行く!…それならいいんでしょ?」
梨央の青ざめた頬がみるみる内に薔薇色に染まった。
「お姉様!本当ですの?一緒に来てくださるのね?」
綾香は肩を竦めた。
「こんなに泣かれちゃ、後味悪すぎるもん。…でも…」
綾香は端正な顔に困惑の表情を浮かべている月城を見た。
「…問題はこのハンサムな執事さんが何て言うかだけど。…どうやら私のことをお気に召さないみたいだし?」
面白そうに笑う綾香。
「そんなこと…!ね、月城!お姉様が屋敷にいらしても構わないわよね?だって元はと言えばお父様のご指示なんですもの!いいわよね?」
梨央は月城の腕を掴んで懇願する。
月城は、目まぐるしい勢いで考えていた。
…ここで拒絶したら、梨央様は二度と私をお許しにならないだろう。また、いつ嘘をつかれて浅草に出掛けられるとも限らない。
そんなことが続いたら、梨央様の評判が台無しになってしまう!

月城は目の前に立つ浴衣姿の美しい綾香を見つめた。
美貌から言えば今まで見たことがないほど凄みのある美人だ。しかし綾香のそれは清濁、又、陰陽併せ持つ美貌なのだ。
梨央の穢れない神聖な美しさとは対照的な…。

だからこそ、梨央のために引き離したかった異母姉妹だったのだが、こうなってしまった以上、腹をくくるしかない。
…そう、私が綾香様を一流の貴族のご令嬢に仕立上げれば良いのだ!
月城は自分の考えに陶酔すら覚え、満足げに頷いた。

「…判りました。お嬢様、綾香様にお屋敷にいらして頂きましょう。旦那様のご命令に逆らう訳にはまいりませんしね」
梨央は喜びのあまり月城に抱きついた。
「月城!ありがとう!やはり貴方は素晴らしい執事だわ!」
月城は梨央の思わぬ行動に一瞬どぎまぎし、眼鏡を押し上げながら表情を取り繕った。
そんな月城を綾香は見透かしたように笑っている。
月城は咳払いしながら言った。
「それではお支度を、綾香様」

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