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真珠浪漫物語
第8章 メタモルフォーゼ
二人がテーブルに着き、晩餐が始まった。
月城は綾香のテーブルマナーに注目する。
おそらく綾香様はテーブルマナーをご存じではないだろう。
勝手がわからずあたふたされる前に、さりげなく自分が助言やサポートをしたほうが良いのではないかと思っていたその時である。

運ばれてきたコンソメスープをきちんとスープスプーンを使い、優雅な手つきで音を立てずに口にする綾香を見て、月城は驚いた。
続く魚料理…スズキのポワレだったが…も、綾香が魚用ナイフを迷わず選び、器用に魚の骨を外し、スズキを品良く口に運んでいるのを見て感嘆した。

そんな月城に綾香は上品に口元をナプキンで押さえながら面白そうに声をかける。
「…浅草カフェの歌手はテーブルマナーを知らないと思ってたでしょ?」
月城はやや狼狽する。
「…いえ…決してそのような…」
梨央はひたすら感動している。
「…お姉様…素晴らしいわ!どちらでお学びになったの?」
綾香は楽しげに笑った。
「フフ…カフェの歌手だけじゃ食べていけない時に、フランス料理店で女給の仕事をしていたんだ。その時にお客の観察をして覚えた。門前の小僧とやらさ。あとは、カフェに私を贔屓してくれる外国人のお客さんがいて、その人が洋食をご馳走してくれたりしたからかな…。人間、食いっぱぐれまいとすればなんだって覚えられるもんさ」
「…お姉様…さすがはお姉様ですわ」
梨央はうっとりと綾香を見つめる。
月城は綾香の話を聞いて、ある種の憧憬めいたものを感じた。
…この方は、やはり伯爵様のお嬢様なのだ。
気高く強い魂をお持ちの…。
…その証拠に私だけでなく、他の下僕やメイド達も早くも綾香様に尊敬の念を覚えている。
月城は、新しく来た美貌の伯爵令嬢に一目置くような視線を下僕たちから感じ始めていたのだ。


…これは、やはり私が綾香様を超一流のレディに仕上げなくては!
梨央様の可憐さ、綾香様の華やかさ、このお二人がいらしたら北白川家の評判は益々上がることだろう。
月城は決意を新たにするのだった。

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