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真珠浪漫物語
第9章 赤薔薇の伯爵令嬢

朝食を済ませると、執事の月城が綾香の今後のスケジュールの相談をしたいと慇懃に申し出をして来た。
「…綾香様はなにしろ自由にお育ちになられましたから、こちらと致しましても様々なことについて把握してまいりたいのです」
月城は今日も執事の黒い正装を僅かな隙もなく着こなし、居間のマントルピースの前で眼鏡を少し押し上げながら口を開いた。
イタリア製のソファに座りながら綾香はにやりと笑った。
「…私の身上調査?何が知りたいの?男関係?」
「…‼︎お言葉にお気をつけになって下さい!梨央様の前ですよ!」
「…おとこかんけい?…お姉様、何のことですか?」
梨央が怪訝そうに聞く。
「仲良くしている男の人はいるか?てこと。…今はいないよ」
月城は咳払いをした。
「…そのようなことを伺いたいのではありません。…綾香様の今後のお勉強の計画を立てたいのです」
「お勉強?」
月城は後手に手を組んだ。
「はい。綾香様には今後、梨央様とともに社交界にデビューしていただく予定です。…本来でしたら梨央様は16歳になられたらデビューしていただく予定でしたが、体調をお崩しになったり、お気が進まれなかったりと、延び延びになっておりましたので…」
梨央は顔を輝かせ、綾香の腕に腕を絡める。
「お姉様とご一緒なら、デビュッタントも怖くないわ!」
「デビュッタント⁈」
「社交界にデビューすることで初めて一流の貴族の淑女として認めていただけるのです。…そこでですね、…綾香様は英語とフランス語はご堪能ですか?」
綾香は肩を竦める。
「私は尋常小学校を卒業したきりだよ。出来るわけないじゃん」
「それでは明日から梨央様の英語とフランス語の教師についてお勉強していただきます。」
「へ⁈」
梨央は嬉しそうに綾香にしがみつく。
「お姉様とご一緒にお勉強できるなんて…梨央は嬉しい!」
「…そりゃ良かったね…」
綾香は力なく笑った。
月城はちらりと綾香を見る。
「語学は貴族のご姉弟の必須教養でございます」
「…ねえ、それより私のカフェのステージはさあ…」
月城はキリッと表情を変える。
「今はとにかく貴族のご生活に早く馴染んでいただくことが大切です!…カフェのオーナーには使いをやり、暫くお休みさせていただくようお願いしておきます」
綾香は不服そうに頬を膨らます。
だが、梨央が不安そうな顔をしたので
「…分かったよ」
と不承不承頷いた。
「…綾香様はなにしろ自由にお育ちになられましたから、こちらと致しましても様々なことについて把握してまいりたいのです」
月城は今日も執事の黒い正装を僅かな隙もなく着こなし、居間のマントルピースの前で眼鏡を少し押し上げながら口を開いた。
イタリア製のソファに座りながら綾香はにやりと笑った。
「…私の身上調査?何が知りたいの?男関係?」
「…‼︎お言葉にお気をつけになって下さい!梨央様の前ですよ!」
「…おとこかんけい?…お姉様、何のことですか?」
梨央が怪訝そうに聞く。
「仲良くしている男の人はいるか?てこと。…今はいないよ」
月城は咳払いをした。
「…そのようなことを伺いたいのではありません。…綾香様の今後のお勉強の計画を立てたいのです」
「お勉強?」
月城は後手に手を組んだ。
「はい。綾香様には今後、梨央様とともに社交界にデビューしていただく予定です。…本来でしたら梨央様は16歳になられたらデビューしていただく予定でしたが、体調をお崩しになったり、お気が進まれなかったりと、延び延びになっておりましたので…」
梨央は顔を輝かせ、綾香の腕に腕を絡める。
「お姉様とご一緒なら、デビュッタントも怖くないわ!」
「デビュッタント⁈」
「社交界にデビューすることで初めて一流の貴族の淑女として認めていただけるのです。…そこでですね、…綾香様は英語とフランス語はご堪能ですか?」
綾香は肩を竦める。
「私は尋常小学校を卒業したきりだよ。出来るわけないじゃん」
「それでは明日から梨央様の英語とフランス語の教師についてお勉強していただきます。」
「へ⁈」
梨央は嬉しそうに綾香にしがみつく。
「お姉様とご一緒にお勉強できるなんて…梨央は嬉しい!」
「…そりゃ良かったね…」
綾香は力なく笑った。
月城はちらりと綾香を見る。
「語学は貴族のご姉弟の必須教養でございます」
「…ねえ、それより私のカフェのステージはさあ…」
月城はキリッと表情を変える。
「今はとにかく貴族のご生活に早く馴染んでいただくことが大切です!…カフェのオーナーには使いをやり、暫くお休みさせていただくようお願いしておきます」
綾香は不服そうに頬を膨らます。
だが、梨央が不安そうな顔をしたので
「…分かったよ」
と不承不承頷いた。

