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真珠浪漫物語
第9章 赤薔薇の伯爵令嬢
翌日から、綾香は礼儀作法、英語、フランス語、ピアノ、声楽…と貴族の令嬢に必要な教養や学問を身につけるための教育を受ける多忙な毎日を送ることになった。
梨央は
「お姉様とご一緒にお勉強できるなんて嬉しい!」
と大喜びだ。
もっとも梨央は語学はすでに外国人相手に流暢に話せるほどマスターしているので、専ら綾香のサポート役だ。
数学や国語など基本的なことは、月城が手が空いた時に見てくれることになった。
綾香が
「尋常小学校レベルの私のためにわざわざ家庭教師雇うのなんてもったいないよ。…あんた、教えてよ」
と提案したからだ。
月城は最初は
「…お嬢様の教育は一流の教師でなければならないのですが…」
と渋った。
だが、梨央が
「いいじゃない、月城。お姉様、月城は帝国大学を首席で卒業したのよ。その後もお父様の片腕となってお仕事をしたりしているの。お父様がいらっしゃらなくてもこの北白川家が財を成して寧ろ増やしているのは月城のおかげなの」
と説明したのだ。
「へえ…。すごいじゃん!あんた、色男なだけじゃないんだね、執事さん」
と綾香は感心した。
月城は少し照れたが慌てて表情を引き締め、
「…じゃん、ではございません。すごい、もレディのお使いになる言葉ではございません。お気をつけください、綾香様」
と釘を刺した。
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