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真珠浪漫物語
第2章 浅草オペラカフェ
北白川伯爵からの手紙。
「…今日はひとつ梨央に告白しなくてはならないことがある。
それは、梨央には腹違いの姉がいるということだ。
私は結婚する前に、朱音という柳橋の芸者と恋仲だった。むろんいい加減な気持ちでつきあっているわけではなかった。お互い愛しあっていた。
だが、つきあい始めて一年が経ったころ、私は景子…梨央のお母様との縁談が整った。
私の家は下流の貧乏公家。
今上陛下といとこ同士の景子の家、北白川家とは格が違う。婿養子の私は立場が弱かった。…そんなことを察したかのように、朱音はある日私の目の前から忽然と姿を消してしまった。…散々手を尽くして探したが行方は杳として知れず…。
朱音は優しい女だったから、私の立場を慮って身を引いたのかもしれぬ。結婚後、数年して梨央が生まれ、私は幸せだった。だが、朱音のことは忘れたことはなかった。
…数年後、景子が病で亡くなった。私は、密かに朱音の消息を人を使い尋ねるようになった。何をしようというのではない。朱音が今も元気でいるか、幸せかを知りたかっただけなのだ。…朱音の消息は何年も不明だったが、つい最近驚くべき報告が入った。朱音もまた数年前に亡くなり…そしてなんと、私との間に出来た娘がいると。その娘は梨央より5歳年上で、今、浅草のカフェで歌手をしていると言うではないか。
…梨央、お前にはお姉様がいるのだよ。腹違いではあるが紛れもなく私の娘…そしてお前のお姉様だ。
梨央、その娘…綾香という娘を探し当てておくれ。
そして、どうか私の代わりに北白川の家に引き取り、ともに仲良く暮らしてはもらえまいか。
梨央は身体も弱く、おとなしい性格だから、1人きりにしておくのが気がかりなのだ。
血を分けた姉が側にいれば、いざというときに心強いのではないか。
私の自己満足かもしれぬ。だが、どうか頼む。
愛する心優しい娘、梨央へ…」
「…今日はひとつ梨央に告白しなくてはならないことがある。
それは、梨央には腹違いの姉がいるということだ。
私は結婚する前に、朱音という柳橋の芸者と恋仲だった。むろんいい加減な気持ちでつきあっているわけではなかった。お互い愛しあっていた。
だが、つきあい始めて一年が経ったころ、私は景子…梨央のお母様との縁談が整った。
私の家は下流の貧乏公家。
今上陛下といとこ同士の景子の家、北白川家とは格が違う。婿養子の私は立場が弱かった。…そんなことを察したかのように、朱音はある日私の目の前から忽然と姿を消してしまった。…散々手を尽くして探したが行方は杳として知れず…。
朱音は優しい女だったから、私の立場を慮って身を引いたのかもしれぬ。結婚後、数年して梨央が生まれ、私は幸せだった。だが、朱音のことは忘れたことはなかった。
…数年後、景子が病で亡くなった。私は、密かに朱音の消息を人を使い尋ねるようになった。何をしようというのではない。朱音が今も元気でいるか、幸せかを知りたかっただけなのだ。…朱音の消息は何年も不明だったが、つい最近驚くべき報告が入った。朱音もまた数年前に亡くなり…そしてなんと、私との間に出来た娘がいると。その娘は梨央より5歳年上で、今、浅草のカフェで歌手をしていると言うではないか。
…梨央、お前にはお姉様がいるのだよ。腹違いではあるが紛れもなく私の娘…そしてお前のお姉様だ。
梨央、その娘…綾香という娘を探し当てておくれ。
そして、どうか私の代わりに北白川の家に引き取り、ともに仲良く暮らしてはもらえまいか。
梨央は身体も弱く、おとなしい性格だから、1人きりにしておくのが気がかりなのだ。
血を分けた姉が側にいれば、いざというときに心強いのではないか。
私の自己満足かもしれぬ。だが、どうか頼む。
愛する心優しい娘、梨央へ…」