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真珠浪漫物語
第11章 嵐の予感
屋敷に戻った綾香はますみに手伝って貰い着替えをすませた。
そののち、梨央の部屋をノックする。

梨央は菫色のシフォンのドレスに着替え、鏡の前に佇んでいた。
ドレスは胸元は控えめに開かれ、ウエストでラベンダー色のサッシュを結び、後ろで可愛らしく蝶結びにされている。
たっぷりの高級レースがあしらわれ、華やかであり清楚であり、これを選んだもののセンスの高さと財力が伺われるものであった。

梨央は綾香を見ると嬉しげに笑った。
「…お姉様、来てくださったの?」
綾香は梨央の後ろに立ち、肩を優しく抱きしめる。
「梨央のドレスを見に来たの。…婚約者がどんなドレスを贈ってきたのか…ね?」
「…あ…」
梨央はびくりと肩を震わせ、俯く。
着替えの介助をしていたすみれに
「あとは私がやるわ」
と伝え、部屋には綾香と梨央の二人きりになった。

綾香は後ろから梨央を抱きすくめ、甘く優しく囁く。
「…梨央には婚約者がいたんだね…」
「…あ…あの…お姉様…」
梨央は喘ぐようにつぶやき、綾香を振り返る。
「…どうして言わなかったの…?あの夜…」
言葉は咎めているが、綾香の声と梨央の髪を撫でる手つきはあくまで優しい。
梨央は涙ぐみ、綾香の腕をぎゅっと抱きしめる。
「…だって…もし言ってしまえば…お姉様はきっと梨央を愛しては下さらなかったわ…」
「そうね…婚約者がいる人を抱くのは私の流儀ではないわ…でも…」
綾香は後ろから梨央の薄い、けれども初々しい青い白桃のような乳房をドレス越しに握りしめる。
「…あっ…ん…っ…おねえ…さま…っ…」
梨央は甘い声をあげて、顔をのけぞらせる。
「…梨央、見て…鏡を…ほら…すごくいやらしい顔をしている…」
耳元に熱い吐息と共に囁く。
「…いや…っ…はずかし…い…」
梨央は激しく首を振り、目を閉じる。
「ちゃんと見て、梨央…いやらしくて淫らな貴方をちゃんと見るの…」
綾香は強引に梨央の顔を鏡に向ける。
おそるおそる瞼を開く梨央…。
鏡には潤んだ瞳の奥に欲情の色をたたえた自分がいた。
白く透き通る頬は紅潮し、薄桃色の唇は半開きになり、紅い舌が覗いている。
…なんていやらしい…淫らな私…!
梨央は胸が苦しくなるほどの衝撃を受ける。
「…い…や…おねえさま…かんにんして…」
涙を流しながら鏡から目を背ける梨央。
綾香は黙ってサッシュのリボンを解き始める。
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