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真珠浪漫物語
第12章 美しき薔薇の番人
縣礼也はゆったりと車から降りると、車寄せに佇む梨央をいち早く見つけ、微笑んだ。

縣は32歳。
九州の炭鉱を裸一貫から興し、莫大な財産を築き上げた祖父は、自らの学歴コンプレックスから孫の縣に英才教育を施した。
軍需産業への貢献が認められ、男爵の爵位を勝ち取った父からは、幼い頃から貴族の子弟として誰よりも優秀かつ優雅であれと、立ち居振る舞い、礼儀作法を厳しく躾けられ、勉学だけでなく教養、趣味、嗜好なども最高のものを身につけるべく最高の教師をつけられ育った。お陰で縣は、社交界では貴婦人や令嬢の胸をときめかせ、縁談は降るように舞い込む常に人気の貴公子へと成長した。

西洋人にも引けを取らないすらりとした長身のスタイル、目鼻立ちは端正に整い、洒脱な雰囲気が大人の魅力を醸し出している。
身につけるものも超一流なものを好む縣はこの日もパリで誂えたジャケットに洒落たネクタイをし、イタリアの職人に作らせた上質な革靴を揃えていた。
その絵に描いたような伊達男ぶりは、車から降りたった瞬間、メイド達が頬を染めたほどであった。

縣は久しぶりに梨央を見た瞬間、その清楚な温室に咲く希少な花のような美貌に、ある種の色香が加わっていることに気づき、片眉を上げた。
縣の知る梨央は美しいが成熟にはほど遠い、青く美しい果実のような未成熟な肉体を持ついたいけな少女であった。
今、目の前にいる梨央は匂うような色香に満ち、儚げなその美貌は男を惹きつけずにはいられない湿った色気すら感じるものであった。
縣は梨央に近づき、その華奢な美しい手を取り、甲に軽く口付けをした。
「…お久しぶりですね、梨央さん。…お会いしたかった…」
優しく微笑んで挨拶するのに対し、梨央は恭しく膝を折り、お辞儀を返した。
美しく臈たけた顔に微笑を浮かべているが、そこにいつもとは違うぎこちないものを縣は感じとっていた。
「…縣様、お越しをお待ち申し上げておりました。…姉をご紹介いたしますわ…父からもうお聞き及びですわね…」
梨央の隣に佇む一人の女性に視線を移す。
…恐ろしく美しい女だ。
しかも妖しく謎めいている…。
この人が北白川伯爵の落とし胤なのか…。
綾香の見る人を一目で虜にせずにはいられない美貌と妖気にさすがの縣も一瞬、声をなくした。
綾香が大輪の花のように微笑む。
「…初めまして、縣男爵様。綾香と申します。お会い出来て光栄ですわ」
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