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真珠浪漫物語
第12章 美しき薔薇の番人
出迎えた梨央の乳母が、縣の訪れを歓迎しながらも、恐縮しながら伝える。
「…申し訳ありません。お嬢様は先日から風邪気味でございまして、お部屋の方におられるのです…」
梨央が出迎えられぬ非礼を詫びる乳母に、縣は持ち前の明るさと鷹揚さで答える。
「構いませんよ。体調が優れないのにご無理をなさることはありません。…私もお顔だけ拝見しご挨拶して失礼いたします」
その方が楽でいいと縣は胸を撫で下ろした。
いくら皇室にゆかりがあるやんごとない姫君でも子供の相手は苦手だ。
この後、馴染みのクラブで友人やガールフレンド達と一杯できるなと縣はにやける。

梨央の部屋へと乳母に先導されながら廊下を歩いていると、ドアの奥から子供の訴えるような高い声が聞こえる。
「どうしてダメなの?お花が見たいだけなのに!早くしないと散ってしまうわ!」
続くのは困惑したようなメイドらしき声だ。
「…お嬢様、丹羽先生のお言いつけなのです。またお熱がぶり返すといけないから、今週一杯はお部屋を出てはいけませんと…」
「もうお熱も下がったわ!お咳も出ないし、元気なのに!」
…この家の姫君だな。
縣は察した。
乳母が慌てたように、
「申し訳ございません。…お嬢様は少々ご機嫌がよろしくないご様子で…」
縣に詫びながらドアをノックし開ける。

「…お嬢様、縣男爵様のご子息、礼也様がお見舞いにお見えになりました」
メイドが慌てて、膝を折りお辞儀をする。

縣は豪奢な寝台に上半身だけ起こして膝にブランケットをかけている少女を見て、一瞬で釘づけになる。

漆黒の絹糸のように艶やかな長い髪、肌は雪のように白く、睫毛は長く濃く作り物のようだ。切れ長の瞳は奥二重でまるで京人形のような雅さである。
驚いて縣を見つめる瞳は黒目勝ちで、先程涙ぐんだのかしっとりと潤んでいる。鼻はすんなりと整い、唇は咲いたばかりの桜のように薄赤く可憐であった。
縣は、梨央の余りの美しさに一瞬、言葉を忘れ、慌てて笑顔を作り、会釈する。
「お風邪をお召しの所、伺いまして申し訳ありません。縣礼也と申します。本日は梨央さんのお見舞いに伺いました。お加減はいかがですか?」
乳母が言葉を添える。
「お父様のご親友の縣男爵様のご子息でいらっしゃいます」
梨央はやっと状況が飲み込めたのか、不意に頬を赤く染めて俯き、ブランケットを頭から被ってしまった。
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