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真珠浪漫物語
第12章 美しき薔薇の番人
…窓に吹く雨風が激しくなっている。
縣はカーテンを閉めながら窓の外を見る。
漆黒の夜の帳が下りた中、窓に叩きつけるように吹く風は大の大人でもどきりとする。
…梨央さんは怖がっていないだろうか…。
昔、たまたま訪問した時に屋敷の庭木に雷が落ちたことがあった。
雷が苦手な梨央は悲鳴を上げると縣に抱きついて来た。
縣は梨央を優しく抱き上げながら、梨央が眠りに就くまで側にいた。
あの日の梨央の身体の柔らかさと強く抱きしめたら壊れてしまいそうな儚げな様は今も縣の手に残っている。

…もう随分、梨央さんを抱きしめたことはないな…。
幼女の頃はまだ無邪気に縣に抱っこをせがんだりしたこともあったが、思春期を過ぎた辺りから梨央は酷くはにかみ屋の内気な性格になり、縣とのスキンシップは皆無になってしまった。
それを寂しくは思っていたが、無理に梨央を抱きしめようという気にはなれなかった。
春が来て、硬い蕾が花開くように自然に縣になびいてくれるのを待っていたのだ。

…それなのに…
なぜ梨央さんはいきなり色香を漂わす大人の女性になったのだ…。
不可思議な疑惑を頭から振り払おうと縣は立ち上がり、梨央に就寝の挨拶をしに行こうと、ドアに手をかけた。

…広い廊下をあちらから歩いてくる二つの人影…。
その魅惑的な身体にぴったり張り付くような白いナイトドレス姿の綾香と、その手に引かれているのは…
やはり白い清楚な裾の長いナイトドレス姿の梨央であった。
縣は思わずドアを細めに閉め、そっと様子を伺う。

梨央は濡れた熱い瞳で綾香を見つめながら、幸せそうに笑っている。
綾香はそんな梨央に妖艶に微笑む。
…と、綾香が大階段を梨央を伴って降りる刹那、ふと縣の方を確かに振り返り、縣を見つめ、謎めいた笑みを浮かべた。
縣ははっとした。

次に気づいた時には、二人は階下に音もなく消えていった。
後に残されたのは、綾香の悩ましくも芳しい麝香の香りのみであった。


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