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真珠浪漫物語
第12章 美しき薔薇の番人
綾香に導かれて着いたところは温室の薔薇の茂みだった。
今が盛りの赤薔薇と白薔薇が競うように咲いているのが、夜目にも鮮やかであった。
ランプの薄明かりに照らされた薔薇は幻想的な美しさを放っていた。
「…夜の温室に来たのは初めて…」
梨央は美しい風景にぼうっとなりながら口を開いた。
「本当に綺麗ね。…梨央が駄々をこねてまで見たがった気持ちが分かるわ…」
はっとして綾香を見る。
綾香は白薔薇の株に近づき、その長く美しい指で、白薔薇の花びらをそっと撫でた。
西洋絵画のように美しく艶めいた横顔を梨央はうっとりと見つめる。
綾香は歌うように言う。
「…この花はまるで梨央ね。…美しく清らかで穢れを知らない…触れることも躊躇してしまうような傷つき易い儚い美しさ…」
「…お姉様…?」
綾香はゆっくり梨央を見つめる。
「…引き返すなら今よ。…今なら貴方は一生何の心配も苦労もない安全な温室で暮らせるの。…縣さんという美しい温室の主人に守られて…」
梨央は叫んだ。
「嫌!そんなの嫌!私はお姉様といたい!ずっとずっとお姉様といたいの!」
梨央は駆け寄り、綾香に抱きつく。
綾香は梨央を抱きとめ、真剣な顔で尋ねる。
「…梨央。私達は姉妹なのよ。例え半分しか血が繋がっていなくても…その事実は変わらない。禁断の恋なのよ?」
「構わないわ!お姉様となら喜んで地獄に落ちるわ!」
「…私について来たら、梨央はしなくてもいい苦労をするかも知れないのよ?」
「構わない!…お姉様とする苦労なら、それは幸せだわ!私は…私はお姉様しかいらないの!お姉様が全てなの!お姉様さえ側にいてくださればなにも望まない!愛しているの…お姉様を!」
梨央の瞳からはらはらと無垢な涙が溢れ落ちる。
「梨央…!」
綾香の中で梨央に対する愛しさが一気に溢れ出し、何かが決壊した。
綾香は梨央を息が止まるほど抱きしめる。
「梨央を地獄へなんかやらない。地獄へは私一人で行く」
梨央は溢れる涙を拭おうともせずに綾香を見つめる
「…いいえ…ご一緒させて、お姉様。お姉様となら地獄も天国だわ…」
「梨央!…愛しているわ!」
梨央が目を見張る。
「…初めて…愛しているとおっしゃって下さった…」
綾香は梨央を抱きしめ、激しくキスをする。
「お姉様…あ…んっ…」
その時、温室の入り口で僅かな物音がした。
振り返ると…
静かに二人を見つめる縣が佇んでいた。
今が盛りの赤薔薇と白薔薇が競うように咲いているのが、夜目にも鮮やかであった。
ランプの薄明かりに照らされた薔薇は幻想的な美しさを放っていた。
「…夜の温室に来たのは初めて…」
梨央は美しい風景にぼうっとなりながら口を開いた。
「本当に綺麗ね。…梨央が駄々をこねてまで見たがった気持ちが分かるわ…」
はっとして綾香を見る。
綾香は白薔薇の株に近づき、その長く美しい指で、白薔薇の花びらをそっと撫でた。
西洋絵画のように美しく艶めいた横顔を梨央はうっとりと見つめる。
綾香は歌うように言う。
「…この花はまるで梨央ね。…美しく清らかで穢れを知らない…触れることも躊躇してしまうような傷つき易い儚い美しさ…」
「…お姉様…?」
綾香はゆっくり梨央を見つめる。
「…引き返すなら今よ。…今なら貴方は一生何の心配も苦労もない安全な温室で暮らせるの。…縣さんという美しい温室の主人に守られて…」
梨央は叫んだ。
「嫌!そんなの嫌!私はお姉様といたい!ずっとずっとお姉様といたいの!」
梨央は駆け寄り、綾香に抱きつく。
綾香は梨央を抱きとめ、真剣な顔で尋ねる。
「…梨央。私達は姉妹なのよ。例え半分しか血が繋がっていなくても…その事実は変わらない。禁断の恋なのよ?」
「構わないわ!お姉様となら喜んで地獄に落ちるわ!」
「…私について来たら、梨央はしなくてもいい苦労をするかも知れないのよ?」
「構わない!…お姉様とする苦労なら、それは幸せだわ!私は…私はお姉様しかいらないの!お姉様が全てなの!お姉様さえ側にいてくださればなにも望まない!愛しているの…お姉様を!」
梨央の瞳からはらはらと無垢な涙が溢れ落ちる。
「梨央…!」
綾香の中で梨央に対する愛しさが一気に溢れ出し、何かが決壊した。
綾香は梨央を息が止まるほど抱きしめる。
「梨央を地獄へなんかやらない。地獄へは私一人で行く」
梨央は溢れる涙を拭おうともせずに綾香を見つめる
「…いいえ…ご一緒させて、お姉様。お姉様となら地獄も天国だわ…」
「梨央!…愛しているわ!」
梨央が目を見張る。
「…初めて…愛しているとおっしゃって下さった…」
綾香は梨央を抱きしめ、激しくキスをする。
「お姉様…あ…んっ…」
その時、温室の入り口で僅かな物音がした。
振り返ると…
静かに二人を見つめる縣が佇んでいた。