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真珠浪漫物語
第12章 美しき薔薇の番人
翌朝早くに出立の準備をする縣の介添えをしながら月城は、詮索と取られないようユーモアを交え尋ねる。
「…せめてご朝食を摂っていかれませんか?縣様の為にシェフが腕によりをかけてクロワッサンを焼いておりますが…」
縣は男でも惚れ惚れするような容姿で、りゅうとしてイタリー製のシャツを着こなす。
月城に高価なカフスを留めて貰いながら、穏やかな口調で答える。
「ありがとう、月城。…だが、私の仕事は終わったのだよ。…美しき薔薇の番人としての仕事はね…」
「…縣様?」
怪訝そうな顔をする月城に、優しく笑いかけ
「…お互い、長い片恋だったな。月城」
と、しみじみと呟く。
はっとする月城。
「…まさか…縣様は…気づいておられたのですか…」
縣は楽しそうに月城を見る。
「美男子の君が梨央さんに対して王女様のように宝物のように傅くさまは大層美しかったからね。…私は美しいものに弱いのだ。…しかし私達二人は美しい白薔薇を愛ですぎて触れることを恐れてしまった…いや、触れなくて満足していたのかも知れないな…」
洗練された所作でジャケットを羽織る縣を月城は呆然と見つめる。
そんな月城を慰めるように縣は朗らかに告げる。
「…美しい薔薇は散らされてこそ、更に美しさを増すのだ。…禍々しいまでに美しく情熱的な赤薔薇によってね」
「…縣様…!」
「温室の薔薇を眺めてから失礼するよ。…こちらの温室は実にドラマチックだからね」
縣は月城に謎めいた言葉を残し、部屋を後にした。
「…せめてご朝食を摂っていかれませんか?縣様の為にシェフが腕によりをかけてクロワッサンを焼いておりますが…」
縣は男でも惚れ惚れするような容姿で、りゅうとしてイタリー製のシャツを着こなす。
月城に高価なカフスを留めて貰いながら、穏やかな口調で答える。
「ありがとう、月城。…だが、私の仕事は終わったのだよ。…美しき薔薇の番人としての仕事はね…」
「…縣様?」
怪訝そうな顔をする月城に、優しく笑いかけ
「…お互い、長い片恋だったな。月城」
と、しみじみと呟く。
はっとする月城。
「…まさか…縣様は…気づいておられたのですか…」
縣は楽しそうに月城を見る。
「美男子の君が梨央さんに対して王女様のように宝物のように傅くさまは大層美しかったからね。…私は美しいものに弱いのだ。…しかし私達二人は美しい白薔薇を愛ですぎて触れることを恐れてしまった…いや、触れなくて満足していたのかも知れないな…」
洗練された所作でジャケットを羽織る縣を月城は呆然と見つめる。
そんな月城を慰めるように縣は朗らかに告げる。
「…美しい薔薇は散らされてこそ、更に美しさを増すのだ。…禍々しいまでに美しく情熱的な赤薔薇によってね」
「…縣様…!」
「温室の薔薇を眺めてから失礼するよ。…こちらの温室は実にドラマチックだからね」
縣は月城に謎めいた言葉を残し、部屋を後にした。