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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第23章 嫉妬と怒り

「知らないと思ってた?最初は俺も気のせいかと思ったけど、その動揺を見ると、いるんだな、相手が。」
「…ごめんなさい。」
「ずいぶん前からか?」
「ううん…1年もたってない…。」
怒鳴る事もなく静かに淡々と質問してくる涼に、余計怖さを感じる。
でもいつから?
涼はいつから、私の不倫に気付いていたの?
そんな素振りは、全然見せていなかったのに。
「不思議そうな顔してるな。何で気付いたの?って感じかな?紗蘭は気付いてなかったかもしれないけど、相手は俺が疑ってる事に、気付いていたよ。」
「えっ?何で?」
驚く私に涼は皮肉たっぷりな笑みを浮かべた。
「紗蘭から香るシトラス系の香水の香りが、紗蘭の首筋に俺がキスマークをつけてから、全くしなくなった。微かに香るメンソール系のタバコの香りは、たまに残ってるけど。」
「あっ…。それで…。」
だから、アズは香水を私と同じ物に変えたんだ…。
アズは最初から涼が勘づいていることを知ってたんだ…。
「相手の男は、キスマークを見ても俺の挑発に乗る事もせずに、冷静に対応したんだな。でも、それで俺は余計におかしいと思った。さっきの紗蘭の動揺を見るまでは、少しだけ信じていたいって気持ちはあったんだけどな…。残念だよ…。」
涼が何とも言えない冷たい瞳で、私をジッと見つめた。

