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第23章 嫉妬と怒り

二人の間にまた沈黙が続いた。


｢涼…ごめんなさい…。｣


もう謝るしかなかった。

そんな前から、私の不倫に気付いていて、それでも私を信じて、変わらず接してくれていた涼に、これ以上何もいえなかった。

ううん、言えなかったんじゃない。

言う言葉がみつからなかったんだ…。

どんな気持ちで、私とずっと接していたんだろう？

そう考えたら、胸がつまって、言葉がみつからなかった。

涼はやっぱり、私なんかより、ずっとずっと大人だった。

そして、私が思っている以上に、私を愛してくれていたんだ。

今になって、そんな事に気付くなんて…。


｢で…？紗蘭はこれから、どうするつもりなんだ？｣

｢……。あのね…私…。｣

｢今なら…！｣

｢えっ？｣


アズとの事を切り出そうとした私の言葉に、涼がそれ以上言うなと言うように、言葉を被せてきた。


｢今なら、なかった事にする。何もかも。全部忘れてしまえ！｣


次の瞬間私の体が宙に浮いて、涼に抱えられるようにして、私は寝室のﾍﾞｯﾄﾞの上に落とされた。