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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第25章 負けない思い

「こんにちは。」
聞き慣れた愛しい人の声が、扉の方から聞こえて、俺はそちらを向いた。
そこには、ダンボールを持って恥ずかしそうに、はにかむサラがいた。
「星野さん、お久しぶりですね。もう体は、大丈夫ですか?」
本当はサラを思い切り抱き締めたかったけど、中から他の人が出て来るかもしれないので、俺は差し障りないような挨拶をした。
「アズ、大丈夫だよ。他に誰もいない。少しなら話せるよ。」
サラが俺にダンボールを渡しながら、優しく微笑んだ。
「サラ…、旦那さんには話したの?」
「それが、色々あって…。アズに話したかったの。今日仕事帰りに少し時間ある?」
「うん。大丈夫だよ。そこの公園でまた、待ってるよ。」
「ありがとう。じゃ、またあとでね…。」
そう言って俺に手を振って中に戻ったサラの表情は、何だか悲し気だった。
きっと良い内容の話ではないのだと、サラの表情を見て分かった。
でも、連絡を取れなかったサラと、久しぶりに会えただけでも俺は嬉しかったんだ。
とりあえず、サラに会えて良かったと、ホッと安心する自分がいた。

