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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第25章 負けない思い

重なったサラの手に力がこもると、サラが呟くように話し始めた。


「アズ…。」

「んっ?」

「アズとの事、旦那さん気付いてたんだって。」

「うん…。」

「アズもそれに気付いてたんでしょ?」

「うん…。」

「何で教えてくれなかったの?」

「サラに余計な心配をさせたくなかったんだ。」

「アズ…。」

「シャンプーも香水も同じにして、それならもう疑われる事もないだろうって思った。でも…。」


サラのうなじに付けられたキスマークにだけは、本当は穏やかな気持ちではいられなかった。

あの時、初めてサラが既婚者である事を思い知らされた。

普段は旦那の存在なんて、感じないから。

深く考えもしなかった。

でも、あのキスマークでサラの旦那は俺に警告してきたんだ。

サラはお前の恋人ではない!俺の妻だ!って…。


「サラが結婚してる事実は変わらないから、俺なりに色々と我慢したんだよ…。」

「アズ…ごめん。」

「でもさ、サラがこうして、今は俺を選んでくれた事が嬉しい。だから、俺もサラの旦那から瞳をそらさず向き合おうと思って、あの夜サラにキスマークをつけたんだよ。」


そう、あの警告を俺は正面から受け止める事を旦那に伝えるために。

そして、俺の存在をサラの旦那にしっかりと知らせるために。

だから、俺はもう一歩も引かない。

誰に責められようが、世の中から白い目でみられようが、俺がサラを幸せにするって決めたんだ。

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