この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
PM2時〜パッカー車の恋人〜
第25章 負けない思い

重なったサラの手に力がこもると、サラが呟くように話し始めた。
「アズ…。」
「んっ?」
「アズとの事、旦那さん気付いてたんだって。」
「うん…。」
「アズもそれに気付いてたんでしょ?」
「うん…。」
「何で教えてくれなかったの?」
「サラに余計な心配をさせたくなかったんだ。」
「アズ…。」
「シャンプーも香水も同じにして、それならもう疑われる事もないだろうって思った。でも…。」
サラのうなじに付けられたキスマークにだけは、本当は穏やかな気持ちではいられなかった。
あの時、初めてサラが既婚者である事を思い知らされた。
普段は旦那の存在なんて、感じないから。
深く考えもしなかった。
でも、あのキスマークでサラの旦那は俺に警告してきたんだ。
サラはお前の恋人ではない!俺の妻だ!って…。
「サラが結婚してる事実は変わらないから、俺なりに色々と我慢したんだよ…。」
「アズ…ごめん。」
「でもさ、サラがこうして、今は俺を選んでくれた事が嬉しい。だから、俺もサラの旦那から瞳をそらさず向き合おうと思って、あの夜サラにキスマークをつけたんだよ。」
そう、あの警告を俺は正面から受け止める事を旦那に伝えるために。
そして、俺の存在をサラの旦那にしっかりと知らせるために。
だから、俺はもう一歩も引かない。
誰に責められようが、世の中から白い目でみられようが、俺がサラを幸せにするって決めたんだ。

