この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
PM2時〜パッカー車の恋人〜
第27章 妻の男

最寄り駅に着いて電車を降りて、地図を片手に歩く。
男の家に行く間に、紗蘭が幼少期に過ごした場所をゆっくりと歩いてみる事にした。
紗蘭がよく行っていたという駄菓子屋さんを曲がり、商店街をしばらく歩くと、紗蘭が通っていた小学校が見える
ここで紗蘭は、何年間か過ごしたんだな…。
子どもの頃も、可愛かったんだろうな…。
そういえば、紗蘭の子どもの頃の写真とか見た事なかった。
見たいと思って、紗蘭に言う事もなかったし、過去に興味がなかったからかもしれない。
でも、紗蘭の昔があるから、今の紗蘭がいるわけで、どうでもいい事ではなかったんだ。
こうして、紗蘭の昔を想像し、紗蘭から昔話を聞く事も、大切だったんだな。
風に乗って運ばれてきた汐の香りを感じながら、俺は小学校をジッと眺めていた。
更に真っ直ぐ歩いていくと、海の公園の入口についた。
ここが、紗蘭が潮干狩りしていた所か。
平日のお昼前のこの時間は、のんびり犬の散歩をする人や、ランニングする人等、それぞれの人がマッタリした時間を過ごしている。
穏やかな所だな。
何だか癒される。
のんびり公園内を散策しながら、俺は紗蘭が潮干狩りをしていた砂浜へと、足を運んだ。

