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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第27章 妻の男

サクサクとした砂浜の感触。

砂浜を歩くなんて何年ぶりだろうか…。

そんなに広いわけではない砂浜。

打ち寄せる波が日を浴びてキラキラと光っていて、奥には遊園地や水族館が見える。

何だか不思議な光景だが、ここでしか味わえないこの光景が、疲れた体を癒してくれる気がした。

ここは、ウインドサーフィンもできるんだな。

海で気持ち良さそうにウインドサーフィンを楽しんでいる人達を見ていると、その中の一人にやたらと目を奪われた。

気持ち良さそうに海を進むその姿をしばらく見つめていた。

どの位の間、ウインドサーフィンを見ていたのだろうか。

さっきまで見とれていた人が砂浜に戻ってきた。

俺の隣をその人が通る。

背はそんなに高くはないが、細身ながらに筋肉はついていて、男から見ても綺麗な体型をしている。

俺がジッと見ていたからだろうか?

通り過ぎる時に、その人が俺に声を掛けてきた。


「あなたも、ウインドサーフィン好きなんですか?」

「嫌、俺はやりません。ただ、君があまりに気持ち良さそうにやっていたから、知らずに見いってしまったよ。すみません。」

「それは、光栄だな。」


少し掠れたハスキーな声でそう言って、はにかんだ彼の横顔を俺は知っている。

彼とどこかで会ったか…?

彼の横顔を見ながら、考えた。


あっ!!

間違いない!!

あの男だ!


写真で見た、紗蘭を抱き締める柔らかな笑顔と同じ笑顔の彼が、俺の前にいた。

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