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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第28章 夫vs彼氏

「こんな事を聞いていいのかわからないけど…。」
「何でも聞いてください。」
「前の奥様とは、どうして別れたのかな?」
俺の質問に、彼は一瞬寂しそうな表情を見せると、口を開いた。
「価値観の違いです。少しずつ開いた溝を埋める事が出来ず、最後は妻が子どもを連れて出て行ってしまいました。」
「価値観か…。」
「仕事をしたい妻と、家庭を守って欲しいと思う夫。よくある価値観の違いですよ…。妻は決断力の早い人だったから、もうダメと判断されて、すぐ俺は捨てられてしまったんです。あの頃の俺は、本当にダメだったと思います。」
彼が言っている事は、よく分かった。
うちだって、紗蘭には仕事をさせず、家事に専念してもらっていた。
私も働きたい!とパートに出た紗蘭。
俺と紗蘭も、彼が今話していた価値観の違いが当てはまっている。
ただ違うのは、紗蘭がそれを言わずに我慢していた事。
紗蘭が彼の元奥様のような性格だったら、俺もとっくに捨てられていたかもしれないな…。
歳が離れているから、俺的には甘やかしていたつもりだけど、紗蘭にとっては拘束されているようなものだったに違いない。
俺も形は違えど、彼と何ら変わらない。
彼の話を聞いて、自分自身を見つめ直す機会ができた。
紗蘭がこの人を好きな理由が、少しわかる気がした。

