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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第28章 夫vs彼氏

「星野さん、俺の気持ちも聞いていただけますか?」
「あぁ、ちゃんと聞くよ。」
「ありがとうございます。」
そう言って、上を向き深く深呼吸した彼が、精悍な顔を俺に向け直し、静かに口を開いた。
「まず最初に、サラさんと隠れて付き合う事をしていて、すみませんでした!サラさんとの関係は、本気です。隠れて付き合うつもりは、ありません!星野さんが、サラさんと別れないと言うなら、俺は訴えられてもかまわないし、星野さんにどれだけ、恨まれても構いません。それくらいの覚悟は、サラさんを好きになった時から出来ています!」
「誰かを気付けても、紗蘭が欲しいと?」
「星野さんを何度も傷付けてしまった事は、申し訳ないと思っています。綺麗言と言われても仕方ないけど、それは本心です。すみませんでした!」
「紗蘭に、もしも子どもが出来たら、君はどうする?」
俺の言葉に初めて彼が怒りを込めた表情を俺に見せた。
「サラさんから聞きました。その時は同じ男として、あなたを軽蔑した。でも、そこまであなたを追い詰めたのは、俺だ。だからこそ、あなたに一度会って話してみたいと思ったんです。」
「………っ。」
「子どもが出来たとしても、その子どもごと、サラさんを愛したいと思っています。俺の気持ちは、それを聞いても変わりませんでした。むしろ、気持ちは強くなった。」
さっきまで怒りに満ちていた彼の瞳は、また優しい光を放っている。
そしてキリッとしたその瞳をゆっくりと下げて彼が、微笑んだ。
「サラさんが好きになった人だ。星野さんは、やはり素敵な人だった。だから、出来れば、お互いに憎しみ合いたくはないです。サラさんが二人いたら、こんなに悩まないのに…。」
そんな事を言った彼が、気持ちを落ち着かせるように、少し冷めた珈琲をゆっくりと飲んだ。

