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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第30章 PM2時の君

車の中ではお互い寂しくならないように、楽しい話だけをしていた。
これからの話とかをしたら、悲しい別れになってしまいそうだから。
サラが手紙に書いていたように、出来れば笑顔でサラを送り出したい。
永遠の別れではないのだから。
空港へは長い道のりのはずなのに、あっというまに時間は過ぎていく。
サラと別れたら、次は二年後まで会えないんだな…。
サラと出逢ってからは、俺の生活もサラ中心に回っていた。
サラがいない二年間、俺は無事に生活出来るのだろうか…。
そんな事を考えているうちに、車は空港に着いた。
見送ろうとした俺に、サラが静かに首を振った。
「アズ…今度こそ、ここまででいいから。お願い、これ以上寂しくさせないで…。」
そう言ったサラを、俺は最後に強く抱き締めた。
サラの甘い香りを鼻からいっぱい吸い込んで、香りさえも忘れずにいたかった。
この香りも、温もりも、柔らかさも…。
全て忘れないから。
俺の愛したサラの全てを、絶対に忘れないから。

