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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第10章 初めての嘘

仕事をしながら、私はPM2時になるのを、いつも以上に待ちわびていた。
さっきまで聞いていたアズの声が、まだ耳元に残っている気がして、早くアズに会いたくて仕方がなかった。
いつもより少し早目に外に出ると、丁度前の道路をアズが運転するパッカー車が走ってきた。
バックして入ってくるパッカー車。
運転席は見えないから、アズが出てくるのを、今か今かと待ちわびてしまう。
車が完全に停まると、運転席からいつものように、アズがピョンと降りてきた。
「こんにちは…!」
「あっ!お疲れ様です…。」
ぎこちない挨拶をして、アズを見る。
アズとのこの距離がもどかしくて辛い。
お互いに仕事をしながら、チラチラとお互いを見る。
うまいタイミングで、どうにか近くまで行きたかった。
その様子をうかがいながら、アズに近づいて行く。
パッカー車の横にパンの箱を並べていたら、ダンボールをたくさん積んだ入れ物を押してアズが近付いて来た。
私達の身長以上に積まれたダンボール。
横には大きなパッカー車。
その間にいる私達。
周りからは完全に死角になった。

