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3週間の情事
第4章 3日目
「空森さん、お待たせしました!」
「山之内さん、私も今来たところです」
今日会社では、空森さんに一回も会わなかった。
空森さんは清楚なアンサンブルで、相変わらず派手さはない。
普段通りの空森さんに、却って安堵感が湧く。
下手に気合を入れられても、微妙な気分になっただろう。
「ここら辺に俺は、余り来たことないんでお店とか詳しくないんですけど、何系が食べたいとかありますか?」
デートと言う名の『作戦会議』。
だけど、目的の日まで偽物でも恋人らしい雰囲気を出せるようになっておかないといけなかった。
出来るだけデートぽくしたい。
会社の近くで、知り合いに診られて噂を立てられたら困ると思い、職場からかなり離れた場所の現地で待ち合わせをした。
一応、和洋中、イタリアンなど、空森さんの好みに合わせられるように、ザクッリと検索をしておいたら――――
「和食でも良いですか? 落ち着いて話せそうな割烹亭があるんですけど」
顔を上気させて、スマホを必死に覗き込む空森さんの姿があった。