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3週間の情事
第4章 3日目
「空森さん、食べ方綺麗ですね」
魚の身を器用に解しているところで、声を掛けてみる。
「えっ、そんなことないです。母が食事は綺麗に頂くようにと躾が厳しかったので、気を付けるようにはしていますけど」
些細な褒め言葉でも、真っ赤にして照れる空森さんが新鮮だった。
「親御さん、空森さんを凄く大切にされていたんですね」
「でしょうか……」
俺の言葉に空森さんは少し目を伏せて、寂しそうな表情を浮かべる。
その表情に色んな気持ちが込められていそうで、これ以上この話を広げない方が良いように思い、話を本題に切り替えることにした。
「空森さん……3週間の間に完璧な恋人役になっておきたいんで、色々伺ってもいいですか?」
「は、はい! 何なりと!」
「ははは、変なことは聞かないので安心して下さい」
「あ……はい。私も山之内さんのこと教えて頂きたいです」
緊張した面持ちに変わった空森さんは、これから何か受講でもするかのよう、背筋を伸ばして身構えた。