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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第1章 幽霊屋敷にお姫様
少女は言われたとおりに、部屋の奥へ向かう。
屋敷の図面によれば、たしかに向こう側にも階段があった。
「歌姫としてはもう働けないだろう?しかもこの子の親はもう亡くなっていてね。不憫( フビン )に思い、私が引き取ることにしたのだ」
「……」
スミヤは話し半分に聞いていた。
“ 声を失った?……馬鹿なことを ”
そんな筈がないじゃないか。
彼女は歌っていた。
僕はその声を聞いたんだよ。
「リリア、何をぐずぐずしているんだ。自分の部屋に戻りなさい」
それに、今も…──叫んでいる
《 わたしを助けて…── 》
潤んだ目で僕を見詰めながら
助けを求めているじゃないか…。
───…