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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第2章 声なき悲鳴
もちろん、その少女とは
昼間にバルコニーで会話したあの娘だ。
会話と言うのは、いささか不適当か。
スミヤは彼女に話しかけたが言葉を交えたわけではない。
......
声の原因が判明したところで、スミヤは盗聴用の器機を壁から外した。
ふところにしまい、何事もなかったかのように立ち去る。
「…こちら東城、3階に異常はありません」
無線で仲間に報告を入れて、自分は見張りを交代するためにマリアの寝室に向かった。
「──…」
依頼人の性癖にまで口を出すほど僕は暇じゃないし
助けてやりたいと思うほど、正義感が強いわけでもない。
ああ……でも リリア
僕はますます、君に興味が湧いてきたみたいだよ。
“ さて、どうしようかな… ”
こんなところで可愛い玩具を見付けるなんて
幽霊よりも、よっぽど遊びがいがありそうだ──。
───…