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声を忘れた歌姫 ~ トラワレノ キミ ~
第2章 声なき悲鳴
.....
「…何故…っ…言い付けを破り、1階に降りてきたのだ…」
ブレットの声
「…ハァ…ハァ………逃げるつもりだったのだろう?…私を、騙そうとしたのだね……!」
誰かを、責めている…その声は
独り言のようにも聞こえる。
「…またお前は…っ…ハァ、私の前から消えようというのか…!!」
彼の言葉には返事がない。
一方的に話を続けるブレットは、息を切らし、昼間とはまるで別人だ。
「…裏切りは許さないぞ……っ…」
──まだ、返事はない。
しかしこの部屋にいるのは彼だけではないのだ。
スミヤの耳に届く部屋の様子……
ギシギシと軋む( キシム )ベッド
ぶつかる肉体
そして、消え細る寸前の、苦し気な喘ぎ声。
スミヤの脳裏には、男の下でその身を蹂躙される少女の姿がありありと浮かんでいた。